長編2

□Flower in the center of the world Y
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女性の悲鳴を耳にしてすぐに交番に身を潜ませたエドワードは、必死に周囲の状況を探った。

沢山の悲鳴が聞こえている事から、明らかに集団を巻き込むような事件が起きているらしい事だけは把握出来た。
迂闊に顔を出せば子供の二人組など標的にされかねないので、聴覚でしか周囲の様子を探れない。
なので、詳細な状況等を知る事は出来ないのだが、エドワードは今認識出来る限りの情報を集めて冷や汗をかいた。

無差別テロならばもう少し規模が大きい筈なので、計画性の無い通り魔的なものなのだろう。

(通り魔だったらこども二人だけなんて余計的にされるだけだ…)

どうやら徐々にこちらへ近付いているらしい悲鳴の嵐に、エドワードは自分が抱え込んでいる幼女・エリシアに視線を向けた。
エリシアは泣きじゃくったり考えた足らずに外に飛び出したりもせず、
必死に声を抑えようとするかの如く口元に手を当ててエドワードにしがみ付いていた。


「大丈夫だよ、エリシアちゃん。きっと、お父さんの所に連れていくから」


エリシアを安心させるように、出来る限り声が引き攣ったりしないように心掛けながら、エドワードは言葉を綴る。

エリシアは出会った時と同じに涙目になりながら、こくこくと頷いた。

とにかくこの子を守らないと――。

エドワードはぐっと息を殺して、どうかこの騒ぎを巻き起こしている犯人がこの無人交番に入ってきませんようにと祈った。



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Flower in the center of the world Y

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