長編2

□臆病なライオン3
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下校時刻も差し迫った、放課後。毎日毎日リボーン達に校舎裏に引き摺りだされ暴行を受けている綱吉を回収し、手当をする。
そんな忌々しいとしか言えない事象が恒例となっている雲雀は、服を捲くられ剥き出しにしている綱吉の傷だらけの背中に消毒液を含めた脱脂綿を押し付けつつ、溜息を吐いた。

無実である綱吉に制裁と称され加えられる暴行。
それを止めようと「そういう事は並盛以外でやってよ」と告げれば、雲雀を味方だと思っているリボーン達は、これは制裁だ、正義の鉄槌だ、と言って憚らない。

風紀を乱している事に該当しない、寧ろ正しているのだと声高に主張する彼らには、もう人間の言葉は通じない。
毎日毎日同じ問答を繰り返しているのに、言う事を聞かない。学ばない。堕落したばかりか記憶能力、思考能力さえ残念になってしまった彼らに、雲雀は呆れるばかりだ。

畜生に堕ちた人間に対する対処に、最近はずっと頭を悩ませている。


「今日に至っては、お前もやれと言われるし、散々だよ」
「…すみません」
「何で君が謝るのさ」


やれと言われ、どうしようかと思いはしたものの、取り敢えず参加した。
そして、一撃で綱吉の気を失わせて、その場をお開きにさせた。

謝罪が必要なのは、庇う為とはいえ綱吉をぶっ飛ばした雲雀の方だ。そう思うが、綱吉はそれに関しては逆にお礼を言ってきた。
どうやら通例として、綱吉が気を失った所で彼らは去っていくらしい。

謝れと責めたてる事が暴力の大義名分のようだし、綱吉の意識が失われた後にエレノアを送っていく事が彼らの生活習慣となっている。
ならば他者に余計な傷を付けられる前に雲雀が一撃で終わらせてしまうのが、現状とれる最良の方策だ。

しかし毎回そうしていては疑われるだろうし、気絶しても暴行を加えるという方向に変動してしまうかもしれない。


「例えば表立って君を守ろうとする人間がいれば、幾分かマシなんだけど。
 味方が君の所の子供だけっていうのがね。使えないし、君も彼らを巻き込みたくはないだろう」


雲雀は群れるのは嫌いだが、しかし綱吉を守る事を目的に共に動ける協力者は必要だ。

しかしこの校内に、並盛に、そういった類の存在を見つける事は現状不可能に近い。
仮に見つかったとして、中心となっている敵対相手はマフィア関係者だ。
一般人に太刀打ち出来るとは到底思えない。

雲雀は思案した。そして思いついた。

校外、町外の、マフィア関係者を探せばいい。幸い綱吉には、並盛以外に拠点を置くマフィア関係者が、複数人数いるのだ。



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第三話:ただこの心を揺さぶる言葉だけに耳を澄ませ

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