長編2
□臆病なライオン4
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嵐のアルコバレーノ・風と、雨のアルコバレーノ・コロネロは、大空のアルコバレーノであるアリアと次期大空であるユニに頼まれて、並盛へとやって来ていた。
ユニに言われた通り下校時刻間近に並中へ訪れ、目当ての人物を探し出し、目を見張った。
未来の記憶が教えてくれた、沢田綱吉の戦い。だからかの人に会う事を実は楽しみにしていた。
顔見知りであるコロネロは元より、風だってボンゴレリングを本来あるべき姿に戻した稀代のボンゴレボスに、興味を抱いていたのだ。
特に彼は、愛弟子であるイーピンによくしてくれている少年だったから。
とても優しくて大好きだと、イーピンが語る少年だったから。
だから、目の前に居る目当ての人物に驚きを隠せない。
未来での戦いで磨かれより強くなった筈の沢田綱吉は、どのアルコバレーノにも見せた事が無い、怯えたような瞳で二人を見下ろしていた。
そんな綱吉を庇うように、二人の前には雲の守護者が立ちはだかっている。
訳が分からず、コロネロは綱吉に近づいた。
「おい、沢田?どうしたんだ、コラ!」
「待って下さい、コロネロ。少し様子が変です」
いつものように荒い口調で問いかけるコロネロを、風が諫める。そして僅かに眉を寄せて、目の前の二人を観察した。
綱吉の体は随分傷だらけだが、その傷が少し異様だ。ダイナマイトや刀傷、銃創。裏社会に関連した争いによってついた傷だと、一見して分かる。
この所マフィア間の抗争はないと、愛弟子であるイーピンからの手紙には書かれていた。
それは事実だろう。風の耳にも、キナ臭い話などは届いていない。
(ああ、けれど、この所イーピンの手紙が妙でしたね。そう、何か、隠し事があるような)
目は口ほどに物をいうというけれど、字だってその時々の感情を表す。
この頃のイーピンの手紙は、字が乱れていた。心が不安定な証拠だ。
文面だって妙だったし、手紙に書かれた情報量、記載内容が著しく減ってもいた。
何かがあって、それを隠している。
アリア達のお使いを引き受けたのは、綱吉を一目見てみたかったというのも勿論あるけれど、愛弟子の様子を確認したいと言うのもあったのだ。
目の前の人物は、恐らく何かを知っている。勘がそう訴える。
「君達は赤ん坊の仲間だね。どういうつもりだい」
殺気立つ雲の守護者に、風は落ち着いてください、と静かに告げた。
「今日はリボーンとは関係無くお邪魔しました。我々はアリアとユニの遣いです。沢田綱吉氏の様子を見てくるよう頼まれたのですよ」
「ユニ…!?」
雲の守護者の殺気はとけなかったが、綱吉の警戒は、ユニの名前ですんなり解けた。
トゥリニセッテの大空どうし通じる所があるのだろう。風はふむ、と頷く。
どうやらリボーンに知られたくない事があるらしい。そういえばアリアとユニも、リボーンとその周囲には接触せず、沢田綱吉のみに会うようにと言っていた。
その事を告げれば、雲の守護者も渋々と言ったふうに武器を下ろした。
「どういう事だ!?一体何があったんだ、コラ!」
「アリア達に伝えなければいけないので、少し話を聞かせて頂けますか?」
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第四話:溢れかえる嘘偽り、その全てを聴くべからず
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