長編2
□誰にでも愛される人
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「んだこりゃ――!!?ドクロしゃべってるー!!!」
一応洗って落ちないかと洗面所に向かった綱吉は、奇妙なドクロの奇怪な変化に絶叫した。
するとずっと後を付いて来ていたリボーンが、
「ドクロ病は死に至るまでに人に言えない秘密や恥が文字になって全身にうかんでくる奇病だぞ。別名“死に恥をさらす病”だ」
「え゛っ」
その恐ろしい言葉に、綱吉は慌てふためいた。
死に恥――とは言えないが、綱吉には秘密が沢山ある。
雲雀との仲、実際の身体能力、大多数の人間には伏せられている性別。
その他にも色々、誰にも知られたくない秘密が沢山あるのだ。
100点を取った事がないのは態とそのように狙って行っている事なので、別にどうでも良い。
確かに恥ではあるが、気にする程の事では無い。
問題は、この病が恥以外の秘密すら暴露する作用があるかどうかである。
死の危険は感じていないので、今回も何だかんだと切り抜けられるだろうが、それまでに伏せてきた真実が露見しないとも限らない。
「ちなみにドクロ病は発病してから1時間で死に至る病だぞ。ツナが死ぬまで30分てとこだな」
全身に秘密が浮き上がって来るまで、あと30分。
まだ、ダメツナとして積み上げてきた恥ずべき秘密だけなら、対処のしようがあるのだが。
「助けてくれ〜!!リボーン!!」
リボーンの仕事は、綱吉を一人前のマフィアのボスに育て上げる事である。
それが、自分が死ぬ気弾を連発した所為で死なせるとあっては、さぞ仕事人としてのプライドが傷つくだろう。
或いは、裏世界での信用がガタ落ちするかもしれない。
そんな瀬戸際でも彼が冷静でいられると言う事は、つまり、何らかの処置方法があると言う事だ。
綱吉は手遅れになる前にと、藁にも縋る思いでリボーンに縋りついた。
「助かる方法が一つだけ、なくはないけどな」
「!?」
「オレの知り合いに、不治の病に強いドクターがいるんだ。そいつを呼べば、何んとかなるかもな」
そう言ってリボーンは、綱吉に次のテストで学年で10番以内に入る事を約束させ、その医師を呼ぶ事を明言した。
その途端、突然階段の方で「死ね」という声と共に、轟音と悲鳴が轟いた。
慌てて部屋を飛び出すと、ポイズンクッキングの餌食になったらしいオジサンが、情けない格好で床に転がされていた。