長編
□again
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やがて綱吉は、突然やって来た家庭教師とその目的。彼が自分をどうしようとしているのかをこと細かく語った。
綱吉の身に起きた非日常は雲雀の歓心を買ったらしく、彼はさも楽しそうに言った。
「君が、マフィアの血筋…?で、ボス候補…?」
「その赤ん坊の言ってる事が嘘って感じはしなかったから、多分そうだと思う」
綱吉はうんざりしたように応えた。
眉を顰める綱吉に対し、雲雀は相も変わらず機嫌良く、呟く。
「殺し屋と名乗ったんだよね。それで赤ん坊なのに強いんだ?それに死ぬ気弾だっけ?…面白いね」
その言葉に綱吉は不機嫌そうに唇を尖らせて、睨み付けるように雲雀を見つめた。
若干涙で潤んだその瞳に、雲雀は僅かに哀憐の情に絆されたのか、愉悦の滲んだ表情を引っ込めた。
綱吉は変わらず不機嫌に唇を尖らせて、呟いた。
「全然面白くないよ。あいつオレの部屋に居付く気みたいだから、気の抜き場が減るし」
項垂れる綱吉に、雲雀はぴくりと肩を揺らした。
それから先程の上機嫌が嘘のように不機嫌に眉根を寄せて、
「なにそれ。君、男を部屋に上げる気なの?風紀が乱れるじゃない」
「そこ!?」
憤懣やる方無いといった表情で呟く雲雀に、綱吉は驚いて顔を跳ね上げた。
思わず突っ込む綱吉に、雲雀はむすぅっと顔を顰める。
突如一気に不機嫌になる雲雀に、オレが怒っていた筈なのに…と思いつつ、綱吉はしどろもどろになりながらも不機嫌な彼をどうにかしようと試みた。
「だって、母さんが決めた事だし。ダメツナじゃ逆らえないくらい強いんだよ、その、リボーンっていう赤ん坊。
っていうか赤ん坊なんだから風紀とか関係無いんじゃない?」
「何言ってるの。異性と同衾するなんて風紀違反の何者でもないじゃない」
「ど、同衾はしてないよ!部屋にトラップ仕掛けられたから、オレは居間で寝たんだ」
綱吉の必死の訴えに、雲雀は「そう」と呟いて、まだ不服そうな表情を浮かべながらも、風紀違反の言を取り消した。
ほっと息を吐いた綱吉に、雲雀はふと思い出したように呟いた。
「だけど綱吉、こんな所に来て大丈夫なの。君と僕の関係は未だ秘密にするんだろう?監視が付いているような事を言っていたけど」
「ああ。今は大丈夫みたいだよ、恭弥君も感じないでしょ?でも多分これ以降は監視が厳しくなると思う」
「君の勘は当たるからね。その通りになるだろうから、じゃあ暫くはここに来られなくなる訳だ。
分かった。僕も君と僕の関係が漏れないように今まで以上に心掛けるし、君を一般生徒と同じように扱わせてもらうよ」
「…そ、そうしてくれると有難いかな……」
一般生徒に対する雲雀の態度を知っている綱吉は若干引き攣った表情を浮かべながら、頷いた。
雲雀は「うん」と頷くと、今後の打ち合わせを一通りこなして、暗くなる前に彼女を帰宅させた。
終.
(→おまけ)