長編

□again
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綱吉との遣り取りの、数時間後。

部活生の帰宅時間頃を見計らって応接室から出た雲雀は、タイミングよく目当ての生徒を見つけて、にやりと獰猛な笑みを浮かべた。
目の前には、朝一気に脱毛させられたためか若干頭皮が危うくなっている持田剣介が居る。

騒ぎを起こした挙句大衆の前で、劣等性として名高い沢田綱吉に大敗を喫したショックからか、心此処に在らずと言った様子でよろついて歩くその後姿と距離を詰めて、


「ねえ、君が剣道部部長?」


悠然とした口調で問いかければ、彼は「馬鹿にしに来たのか」と睨み付けるように振り返って、雲雀の姿を視認した瞬間カッと目を見開いた。


「ひ、ヒヒヒヒバリさん!?」


驚愕の相を示す持田に、雲雀は「僕はそんな名前じゃないよ」と囁きつつ、さっさと用件を口にした。


「今朝の騒ぎは君が起こしたんだよね」
「…えっ…いや……あの………、さわ…沢田綱吉が…俺は……ひ、被害者……」


しどろもどろになりながらも綱吉の名前を出す持田に、雲雀は凶暴な笑みを浮かべた口元はそのままに、眉根を寄せた。


「責任転嫁かい?下種な草食動物がやりそうな事だね」


凄絶な微笑を浮かべるのと同時に愛用の武器、トンファーを構えた雲雀に、持田は悲鳴を上げる。
その声に、雲雀は「うん、いい声で鳴いてくれそうだね」と歌うように零して、あっという間に病院送りにした。


終.
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