「聞いてよ、右目の旦那。」
「っ!?なんで、テメェが此処にいやがる、猿!!」
「猿じゃなくて、猿飛だからね、俺様。あー、このやり取りいつになれば終わる訳?俺様は、猿飛佐助。猿でも、女中でも、料理人でもなくて、真田十勇士隊長猿飛佐助。忍なの。忍びなわけ。わざわざずんだ餅を奥州に取りにくる、小使い人猿飛佐助になったわけじゃないんだよ。‥……何その哀れみの眼。俺様マジ泣きそう、アレ目がぼやけて来たよ…‥。」
「その、なんだ、悪かった、猿飛。お前も苦労してんだな…‥。俺もな、近頃、自分が政宗様の世話係じゃないかと思えてならねぇんだ。朝の挨拶に行けば、既に政宗様は何処かに出掛けていて、布団はそのまま、それを畳んで片付け、政宗を探しだし、なんとか政宗様を見つけだし朝食を食べさせ、その数刻後、実務から逃げ城下町に出る政宗様を死にものぐらいで見つけだし、再び実務室へと向かわし―…《以下略》……というけで、近頃本当に胃に穴が開くんじゃねぇかと…。思い出してきたら胃が…。」
「右目の旦那―…分かる、分かるよソレ。」
「猿飛―…、分かってくれるか。」