Novel

□その大きく冷たい掌を
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俺は復讐を誓ったんだ
あの時あの場所で、あいつを連れて
俺とあいつにこんな仕打ちを…人とも見なさない行為をした連中に

必ず、殺してやると

それが俺の
今へ至る礎だった
生きる理由だった
その為に己の心まで捨てた

俺は大切なものを奪われた
だから奪ってやるんだ
大切に想っている者同士を引き裂いて
身も心もズタボロに
俺が味わった絶望や悔しさや哀しみを、同じように突き付けて

それで俺は満たされる筈だった

けれど、“それ”が失くなったら俺は…
俺はどうなってしまうのか
一体、何が残ると云うのか

…俺が本当に求めていたものとは――。



【その大きく冷たい掌を】




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