過去拍手部屋

□誰かの為の幸せ弁当
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AM5:00 七松家キッチン

「唐揚げ、タコさんウインナー、卵焼き、野菜いため、アスパラのベーコン巻き、五穀チャーハンに彩り野菜のサラダ、お豆たっぷりポテトサラダ、鮭、梅、おかかのおにぎり一段……よし、完璧だッ!」

机一面に広がる様々な料理を綺麗にかわいいお弁当箱に詰めていく。

「金吾、四郎兵衛、三之助も応援について来いと言われるだろうし…タッパーにも詰めよう。」

忙しく、疲れて文句の一つでも言いそうだが、せかせかと働く滝夜叉丸の顔は幸せそうだった。




AM6:00 潮江家 朝食

「いいかっ!今日は大事な日だぞ!!潮江家なるもの、誰にも負けてはいかーーーん!」

「し、潮江先輩まだ朝ですから…お静かn」
「いいかっ男子たるもの誰にも負けるんじゃないぞーー!」


「…はぁ、全く。」

「お昼はサンドイッチ食べたいです!」

「団蔵…お前どうゆう神経してんだ……」

「まあまあ、左吉。お前は何かリクエストないのか?なんでも作るぞ。」

「えと…じゃあポテトサラダ!!」

「私はおにぎりが食べたーいです!」

「左門誰にむかって言ってるんだ…、全く!じゃあ中身はツ
ナマヨでいいな。」

「はい!」

「今日はみんなの晴れ舞台だからな。頑張れよ。」

「「「はい!」」」


子ども達のリクエストにも予想がついていた三木ヱ門は、テキパキとお弁当の用意をしながらほほ笑んでいた。
その顔もまた幸せいっぱいだった。






AM7:00 立花家リビング

「うわぁ、間に合わない〜!」

「女の子が朝から大声出すなど、はしたないぞ藤内。」

「そうだよ。何でそんなにバタバタしてるの藤内。」




「あんたらこそ何してんですかーーー!!」



なんだ?と疑問丸出しの顔で首をかしげてくる夫婦2人。


「今日は兵太夫と伝七の運動会じゃないですか!せっかくかわいいお弁当を作ってあげたかったのに!!」

「おやまぁ。」

「案ずるな、喜八郎、藤内。既に昨日きもんじに場所は取らせている。プログラムも、兵太夫の鼓笛隊の通路も伝七のダンスの位置も把握済みだ。」

「「…」」


「滝ちゃんと三木ちゃんはどんなお弁当つくるのかな…」

「カニさんウインナーと、伝七は甘い卵焼き……あとは唐揚げとかで大丈夫でしょうか。」

「なに、藤内が作るなら心配はない。お前が好きなようにしなさい。」

「あ、はい!」

綾部は返事をした時の藤内の微妙な表情の変化に気付いた。

「おやまぁ。」

「じゃあ、ハンバーグもいれて…野菜も食べさせないと……」


ブツブツとメニューを唱えながら藤内は家族用の弁当箱の他に、コッソリと自分の弁当箱を出す。

「立花先輩、運動会って好きな人にお弁当を渡す日でしたっけ。」

「なんだ?急に何を言い出すんだ喜八郎。」

「いいえなんでも。」



小学校の校庭でも迷子になる誰かさんと食べるであろう弁当を用意しながら、藤内もまた幸せいっぱいだった。

(あーッ!前髪の寝癖を直す時間がないぃぃぃ!!)





‐END‐

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