お題部屋

□恋に気が付く10のお題
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兵伝:兵太夫が猛アピール中




ーー嫌いだ、あんな奴。











「伝七ぃ、ちょっと来て?」

「なに…ぅわぁぁぁぁ!!!」

「うん、いい落ちっぷりだ!」

「ぅわぁぁぁぁうわぁぁん!」


…ーだいっきらい、あんな奴。






奴のつくった罠(落とし穴)に落ちながら、そう、思ってた。








「…ひっ…ふぇっ……」

「そんなに泣くなよ〜、ちょっといつもよりグレードアップしただけだろ?」

「…だいっ…きらい!」

「……」




泣きたくなんかない。

でも涙が出て来るんだ。

ちゃんと着地しようと思ったのに、下にはビー玉がごろごろと転がっていて、すごく痛い思いをした。

竹槍でなくてよかった。…じゃなくて!




「伝七、僕のこと嫌い?」

座り込んだ僕に合わせて、しゃがんで聞いて来る。

「そんなこと…」

当たり前だ!っと言えばいいのに、言えない。


さらッと音がすると思ったら僕の頬が撫でられていた。


「ぼ、僕はー」

目線が合わせられない。どうして僕が困らなきゃいけないんだ!


「僕は、好きな子ほどいぢめちゃう、ってわかりやすいやつなんだ。」

そんなこと、聞いていない。
いい加減、頬に添えてる手を放してほしいし、そんな目で僕を見ないでほしい…。




ドキドキするだろこの馬鹿…




「伝七さ、そうやって目線合わせられなくて俯き加減になった時のかわいさ半端ないんだ。」



知らない。



「泣き顔もかわいかったよ…頬が腫れてしまうから早く冷やさないと……」



知らない。



「伝七。」



知らない。知らない。知らない。







ドンッ!




兵太夫を突き放して走り出した。



「知らないっ!こんなに大嫌いなやつお前以外にいるもんか!!」





ーーだから、こんなに心臓がうるさいんだ。










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