連鎖輪廻

□Piece1.侵食する過去
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−side yamato−


 人は何を見て大切だと判断するのか。それは千差万別で、全く同じものはない。
 同じ人間が存在しないように、同じ考えを持つ者もいないのだ。
 俺にとって、大切なものは何か。問われても答えられない。

 九歳の頃に両親を交通事故で失い、祖母宅で少年時代を過ごした。祖父母は俺に冷たかった。祖母がよく俺に言った言葉がある。


「お前の母は呪われた一族の娘だ。何とおぞましい」

 二人が俺を見る目には愛情というものは皆無で、抱き締められた記憶すらない。その時から俺は夢を持つ事も、誰かを愛する事もやめた。


  ――誰にも愛されないのなら、期待を持たなければ良い。誰も、愛さなければ良い。


 いつしか、そう暗示を掛けるようになっていた。
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