過去拍手SS
□好き
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「ねえお父さん、ぼくと兄ちゃんどっちが好き?」
夕食後、ソファで寛いでいると自分にそっくりな次男が訊ねてきた。
「いきなり何だ?悟天」
「ねえどっち?」
早く早くと急かす次男に少し苦笑して、
「どっちって、父さんオメエも悟飯もでえ好きだから比べらんねえよ」
ふてくされるかな? と思いながらもこういう事は嘘を吐けないから正直に言ってやると思いがけない反応が返ってきた。
「よかった。ぼくの方が好きって言ったら兄ちゃんかわいそうだもんね」
自分の方が好きと言われる事が前提なのがこの次男らしいと苦笑した。
「じゃあね、ぼくとお母さんどっちが好き?」
「へ?」
昔に長男にも聞かれた事がある。
兄弟というものはこんな所まで似てくるのか、と感心したが、さて、どう答えるものか。
長男の時は妻もその場にはいなかったし長男の性格から素直に言っても大丈夫だったが……。
すぐそこの台所に妻もいるし、長男よりもわがままで甘えたな次男に何と言ったものか……。
「ねえねえ、どっち?」
急かしてくる次男に困り果ててる自分の姿を見て、妻が小さく笑ったのがわかった。
end