novel
□愛しき系譜
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ウーブとの修行を中断して我が家でくつろいでいると、6歳になったばかりの孫娘のパンがいきなりのたまった。
「パン、黒い髪ヤダ」
「いいっ!?」
ヤダと言われても……悟空はどう返していいかわからない。
息子ばかりの悟空には、孫娘の言う事が時々理解できない。
「何でヤなんだ?」
とりあえず理由を聞いてみる事にした。
「あれ」
パンが指差したのはテレビの中のクネクネ歩くモデルの女達。
みんな金髪やら茶髪やらで、パンのような真っ黒な髪はいない。
「あんなキレイなおねえさんみたいになりたいの」
悟空には女の美醜がわからない。
何せ、子供の頃は股間をパンパンしなければ男女の区別がつかなかったほどだ。今は見た目でわかるが、正直妻のチチ以外何でもいいとすら思っている。
「あんな女になりたいんか?」
どこがいいんだ?と言おうとすると、
「パン、金髪でフワフワした髪に生まれたかったの。ブラちゃんだって水色のキレイな髪だし……」
パンはテレビの中の女達を見ながら、いいなぁ……と何度も言っていた。
しかしながらそうは言ってもパンは黒髪だ。
悟空もチチも黒髪で、パンの父親である息子の悟飯ももちろん、母親のビーデルも黒髪なのだ。
何かの先祖返りか突然変異でもなければ金髪にはならないだろう。
超サイヤ人になれれば簡単に金髪になれるが、そんな事、悟飯もビーデルもチチも許すはずがない。
ましてや染めるなんて事もさせたくないし……。
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