novel
□promise
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もし、今度生まれ変わっても、
また一緒になろう。
そして今度こそ、
迎えに行くから―。
パオズ山の白いカプセルハウス。
ここは何も変わらない。平和そのものだった。静かで、刻々を時が過ぎるだけ。
この家の中は以前と違って暗く感じる。
以前のこの家は賑やかだった。
明るく聡明な息子。怒りっぽくて厳しいけれど、美しく優しい妻。
そして強さだけを求めて修行ばかりだけど、家族を心から愛する夫。
そんな幸せな一家を襲った悲劇。
今まで遭遇したどんな騒動よりもこの一家に衝撃を与えた。
この家の主・孫悟空がウィルス性の心臓病で倒れた。
世界一、いや宇宙一屈強で最強のこの男も病には勝てないのか。
日に日に衰えていくその身体は、かつての悟空を見出せない。
このウィルス性の心臓病には特効薬がまだない。
悟空は特効薬が開発されるまで、迫り来る死を刻一刻と待つしかないのだ。
しかしこの病気は発症してから48時間以内に感染する。48時間経つともう感染力は失っている。
最初は悟空も感染病院に入院していたのだが、本人ももう永くないと自覚していたのだろう、パオズ山に帰りたいと言い出した。
主治医も妻のチチも最初は悟空の身体を慮ってパオズ山に帰る事に難色を示した。
しかし、悟空の気持ちを十分過ぎるほど理解していたチチは主治医に頼み込んで、パオズ山に戻る事の許可を得た。
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