雨の日の唄

□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄71


 洗い物は終わって、カプセルの中を少し散策した。

 どういう仕組みなのかは全然わからないけど、それなりの広さはあるし池まである。

 悟天君とトランクス君はその池で遊んでいて、悟飯君はそれを監視していた。


 その姿を遠めに見て、今朝の事を反省する。

 ……あの態度はないわよね。

 
 イライラしたのはただの私の思い込みだし、ただの八つ当たりにしかすぎない。

 ホント、これじゃただの可愛げのない女じゃない……。

「よしっ!!」

 私は意を決して悟飯君の元に歩みを進める。


 そして―。

「悟飯君」

 思い切って声をかけた。
 
「……ビーデル……さん……?」


 悟飯君は振り向いて私の姿を確認したようだ。


 私は意を決して悟飯君の隣まで行った。でも後先考えずに来てしまったから何を話したらいいかわからない。

「あ、あの……」

 悟飯君は呆然としながら私を見上げる。

 ど……どうしよう……。

 何を話せばいいのか考えずに来てしまったものだから……あ、そうだわっ!!

「私、悟飯君にお願いがあるんだけど!!」

 そうよ、あの事を言えばっ!!

「え……? は、はい、何でしょう……?」

 悟飯君の態度は少しぎこちないけど、この際考えてられない。

「あ、あのね……」

 とは言ったものの、どう切り出そうか……?

「お、おばさんにね…」
「お母さんですか?」

 突然自分の母親を出してこられたからか、悟飯君の顔には怪訝そうな色が見えた。

「……ええ……おばさんにね……お料理をね……」
「料理?」

「習いたいのよ……」

 そうよ。日頃から思ってた事よ。おばさんにお料理を教えて貰いたいと思っていた。

「……だから……お願いしといて欲しいんだけど……」

 そう言うと悟飯君は明るい顔になって、

「え、ええ!! もちろんですよ!!お母さん、ビーデルさんの事好きだから、絶対に喜びます!!」

 と言った。

 あなたはどう思ってるの?……なんて事、聞けやしないけど……。


「そ、そう?じゃあお願いしていいかしら?」

 でもよかった。やっと悟飯君と普通に話せた。

「はいっ!!」

 嬉しそうに返事をする悟飯君の顔を見ていると、また心臓がドキドキと大きく鳴る。

 
 悟飯君と仲直り(って私の単なる八つ当たりだけど……)出来たし悟飯君のお家へ行くきっかけも出来た。


 これから先の事はともかく、もっとこのキャンプを楽しまなきゃ!!


 end 
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