雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄72
ふと川べりを見る。
悟飯さんとビーデルねえちゃんが楽しげに話していた。
「ビーデルねえちゃん、やっと機嫌が治ったみたいだな」
独り言のように呟く。
すると、
「やっぱりおねえちゃん機嫌悪かったんだ」
悟天が自分よりも大きなビーチボールを抱えて言った。
「そうだよ。っておまえ、ちゃんと気付いてたの?」
「うん。おねえちゃんの気がピリピリーってカンジだったもん」
これには驚いた。鈍感な悟天の事だから、ビーデルねえちゃんの機嫌が悪いなんて気付かないと思ってたのに。
それを気で読んでたなんて、悟天のヤツ、結構やるじゃないか。
オレもうかうかしてられない。
「それにしても、おまえ気でよくわかったな。そんなにわかりやすく乱れてなかったと思うけど。まぁオレは気でもわかったけど、ビーデルねえちゃんの態度でも何となくわかったんだけどさ」
オレは小さな頃からパパに鍛えられたからね。悟天は最近まで飛べなかったくらいだからな。
「だってね、おかあさんの気と一緒だったんだもん。おとうさんを怒ってるときのおかあさんの気。黙ってるんだけどね、ピリピリーってしてるの」
「へえ〜」
これはおもしろそうな話だな。
「そういうときはね、ぼく、何も言わないんだ。大人しくしてるの。だってね、おかあさんなんにも言わないのに怖いんだよ。兄ちゃんだってずっと黙ってるかお部屋に戻っちゃうんだ。おとうさんなんてずっと謝ってるんだよ」
なんだか簡単に想像が出来た。
何だかんだ言っても悟天のママって怖いんだよな。
悪い事をしたら容赦なく鉄拳が飛んでくる。普段はめちゃくちゃ優しいのに、怒るとめちゃくちゃ怖いんだよな。
でもおじさん、悟天がおばさんの気が読めるようになるくらい、おばさんのこと怒らせてるんだ……。
悟天の家って、おじさんが生き返ってからいろんな意味で賑やかそうだよな。
なんて思いながらも、悟天にすぐに抜かれるんじゃないかと少し不安にもなった。
end