雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄75
「でも悟天が気をちゃんと読めるってのは意外だな」
「そお?」
トランクスくんはそんな風に言うけど、そんなに意外はことなのかな?
「だってお前ハチャメチャだもん」
「今はそうでもないよ。おとうさんと一緒に修行してるから」
今はおとうさんと修行してるんだ。
おとうさんも『悟天、行くぞ』って連れてってくれる。
「おとうさんね、よく『悟天は強いな』って言ってくれるんだ。兄ちゃんがぼくくらいのとき、まだ超サイヤ人になれなかったって。兄ちゃんもね、精神と時の部屋でおとうさんと猛特訓したからなれるようになったって言ってたよ」
兄ちゃんもぼくくらいの時におとうさんとピッコロさんと一緒に修行してたって言ってた。
その時はまだ超サイヤ人にはなれなかったって。
「へえ〜あの強い悟飯さんでも苦労してなったんだな? じゃあオレたちすげえってコトじゃん?」
「おとうさんもね、『オメエたちはもっと強くなるぞ』って」
おとうさんは修行の休憩中とかにいろんなお話をしてくれる。
おとうさんの小さいときのお話とか、死んじゃったおじいちゃんのお話とか。おとうさんとおかあさんが出会ったときのお話とか結婚したときのお話とか。
宇宙に行ったときのお話とかあの世のお話とか。
でも死んだときのお話だけは絶対にしてくれないんだ。
おとうさんにいっぱいお話ししてもらったんだけど一番びっくりしたのが、あんなに強い兄ちゃんなのに、4歳くらいまでは武術は全然してなくて、お勉強ばっかりしてた泣き虫だったってこと。
今でもお勉強が大好きなのは知ってるけど、そんなこと兄ちゃんもおかあさんも教えてくれなかったからちょっとびっくりしちゃった。
「悟天はおばさんに武術習ってたんだったよな?」
「うんそうだよ。おかあさんに習ってたんだ。おかあさんもおとうさんと同じ亀仙流だから」
「おばさん強いの?」
「うん。おとうさんと結婚したときの天下一武道会の本戦までいったんだって。それでおとうさんと対戦して結婚したって言ってたよ」
「何それ?」
トランクスくんはキョトンとした顔をしてた。
「何が?」
「対戦して結婚ってヤツ」
「ぼくもよくわかんない。でもおとうさんもおかあさんもそう言ってたよ」
「ワケわかんねえよ……」
トランクスくんは変なものを食べたときみたいな顔をしてた。
でも兄ちゃんには武術をさせるのは嫌がってたおかあさんが、ぼくに武術を教えたって知ったときが一番驚いたっておとうさん言ってたんだ。
それでおとうさん、言ったんだ。
『アイツは変わったけど、変わってねえ』
どういう意味なんだろう? よくわかんない。
『どういう意味?』って聞いたら、『ハハッ、オメエにはわかんねえかもな?』って笑いながら言われた。
変わったのに変わってない? 意味わかんないよ。
兄ちゃんにはわかるかな?
でもきっと、おとうさんにしかわからないって、ぼく思うんだ。
end