雨の日の唄

□雨の日の唄61〜90
19ページ/31ページ

雨の日の唄78


「悟天君が言ってたんだけど、おばさんてすっごい早起きなんですって?」

 人工池のほとりに腰を下ろし、悟天とトランクスの監視をしている僕にビーデルさんは聞いてきた。

「ええそうですね。ひょっとしたら5時前には起きてるんじゃないかな?」
「5時前っ!?」

 ビーデルさんは驚愕の声をあげた。

 基本僕の家は早寝早起きだ。

 子供の頃から『満月の夜は大猿が出るから外へ出てはいけない』とお父さんに言われてきた。

 それが原因かどうかはわからないけど、早く寝ることが習慣化され、今でも早寝してしまう。

 ただ、今は学校の予習とかもあるから、昔よりは少し遅いけど、それでも10時には布団の中だ。

 まあその大猿もお父さんだったわけで……。いや、下手したら僕だったのかな?

「6時半には朝食食べてますから。ほら、僕のうちって学校から遠いでしょ? だからそれくらいに食べて出て行かないとね」

 まあその気になればかなりの速さで飛べるのは飛べるけど、そういうわけにもいかねいしね。

「うちの食事の量は普通じゃないって言われますから。でも昔っからそんなものだったから、クリリンさんたちに聞くまで普通だと思ってました」

 本当に普通だと思ってたからね。まさかサイヤ人の特性だとは思わなかった。

「……でも、おばさんはそんなに食べないでしょ?」
「女の人はそんなもんだと思ってました」

 男は食べるけど女は食べないと思ってたし。本には食事の量がどうとか書かれてなかったし、僕自身も両親とお祖父ちゃん以外とはあまり接したことなかったし、基本、人見知りだったみたいだし。

「……あなたたちって、ホントすごいわよね……」
「そうですか?」

 確かに宇宙人のハーフだから普通ではないけどね。
 でも、お父さんが宇宙人だっていうのは幼心に納得できたな、と思う。

「でも普通の人間が空を飛べるとかって、本当にすごいわよ。クリリンさんだって飛べるんでしょ?」
「ええ、飛べないのはお母さんとブルマさんくらいかな? そう言えば武天老師さまはどうなんだろ?」

 聞いたことなかったな。今度カメハウスに行った時にでも聞いてみよう。

「そうだ。ビーデルさんってカメハウスには行ったことなかったでしたっけ?」
「カメハウス?」

 ビーデルさんはキョトンとした顔で見てきた。

 その顔を見ると、ちょっとドキッとしてしまった。

「は、はい。武天老師さまの家です。海の孤島にあるんですよ。今はクリリンさん一家も住んでるんですけど、昔はお父さんも住み込んで修行したんですって」
「へえ〜」

 ビーデルさんは感心したような声を出した。

「今度行ってみますか? いいところですよ」
「いい……の?」
「もちろんですよ」

 ビーデルさんは嬉しそうな顔で笑ってくれた。

 その顔を見ると更に胸が高鳴る。

 でも同時に、すごく幸せな気分になった。


 end
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ