雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄86
「へえ〜好き同士のことをりょうおもいって言うんだね?」
「そうだよ」
「トランクスくんて、いろんなこと知ってるよね?」
「そうか?」
トランクスくんはちょっと赤くなって、それから自慢げな顔をした。
兄ちゃんも何でも知ってるけど、トランクスくんは兄ちゃんがお話ししてくれないようなことをたくさん知ってるんだ。
好き同士がりょうおもいっていうことは兄ちゃんも教えてくれなかったもん。
あ、じゃあ……。
「ぼくとトランクスくんもりょうおもいなの?」
「へ?」
トランクスくんは素っ頓狂な声を出して、すっごく変な顔をしてた。
「ぼく、トランクスくんのこと好きだけど、トランクスくんは違うの?」
「……好きだけど……」
トランクスくんはもっともっと変な顔になった。
「なに?」
だってトランクスくんはぼくの一番のお友達だもん。だからぼくトランクスくんのこと大好きなんだけど。
「何って……おまえ……それ変な意味じゃないよな?」
「変な意味って?」
変な意味ってなんだろう? 好きに変な意味ってあるのかな?
「ああ……そうか……」
トランクスくんは納得したような顔になった。
「おまえの言う好きってのはパパもママも悟飯さんも好きってのと同じような意味だよな?」
「うん。それ以外になんかあるの?」
ぼく、おとうさんもおかあさんも兄ちゃんもおじいちゃんもトランクスくんも他のみんなも大好きだけど。他になんかあるのかな?
「……じゃあいいや……ヤッベ……今スッゲー焦った……」
「なんで焦るの?」
トランクスくん、何言ってるのかな?
「あのな、この世にはそれを言っちゃうと勘違いするヤツもいるんだ。特におまえみたいな天然なヤツが言うとな。それは大人も子供も、女も……男もだ!!」
「?」
トランクスくんの言ってる意味が全然わかんない。
「わかんないか……とにかくだ!! オレとおまえは友達として好き同士だけど、それは両思いとは違う」
トランクスくんは人差し指を立てて、真剣な顔で言った。
「ちがうの?」
「違うんだ!! ぜんっぜん意味が違うんだ!! 確かに両思いってのも間違ってないかも知れないけど、この場合は全然違うものなんだ!! この場合の両思いってのは男女に使うものなんだけど例外もあるんだ」
トランクスくんの顔がもっと真剣になった。
「れいがい?」
「そうだ、例外だ……この世にはいろんな愛の形ってものがあるんだ。だから絶対に言うんじゃないぞ」
「いろんなあいのかたち? なにそれ?」
どういう意味なんだろ?
「いいからっ!!」
トランクスくんはすっごく怖い顔で言った。
「う、うん……」
ホントはまだ意味がわかんないんだけど……。
でもトランクスくんの顔がすっごく怖くなったから、とりあえず返事したんだけど……。
ホントどういう意味なのかな?
あとで兄ちゃんに聞いてみようかな。
end