雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄66
あれ?お父さん?
外でお父さんの気を感じた。
でも何だかお父さんの気が乱れているようた。
どうせお母さんに怒られて逃げてきたんだろうけど。
それにしてもビーデルさんだよ…。
何で機嫌が悪いのかわかんないんだもんなぁ…。
「ねえ、兄ちゃん。」
今日使う薪を拾っていると、悟天に声をかけられた。
「なんだい?」
「お父さん来たよね?」
お母さん子でお父さんが生き返ってからはお父さん子も追加された悟天は目を輝かせながら言った。
「ぼくに会いに来てくれたのかな?あれ?もういないや。」
確かにお父さんは来たけど、すぐに帰ったようだ。
それにしても…
「悟天、気を読むの上手くなったね?」
頭を撫でてやると嬉しそうに身を捻った。
「うん!!でね、お父さん、何か変だったよね?ザワザワってカンジだったよ。」
「そこまでわかったのかい?」
そこまでわかるようになったのか。弟の成長にちょっと感慨深いものがある。
「うん。あのね、ビーデルおねえちゃんも変だったよね?ピリピリってカンジで。」
「そんな事までっ!?」
悟天は気付いていないと思ってたのにちゃんと気付いていたのか?
「なんかね、おとうさんを怒ってる時のおかあさんの気に似てたから知らんぷりしちゃった。おうちでも知らんぷりしてるの。」
そ、そうだったのか…。
お母さんがお父さんを(静かに)怒ってる時は確かに悟天は何も言わない。僕もお父さんも気でわかってるから、触らぬ神に祟りなしって感じでいるんだけど(お父さんは必死で謝ってるけど)、悟天は全く気付いていないんだと思ってた…。
でもそれは悟天も触らぬ神に祟りなしを決め込んでたなんて…ちょっと驚きだ…。
「でもなんでおねえちゃん怒ってるのかな?」
「さ、さあ…?」
それがわかれば苦労しないよ…。
僕は胸中で嘆息した。
end