雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄67
「ビーデルねえちゃん、何で機嫌悪いの?」
「え?」
洗い物をしているとトランクス君が聞いてきた。
「な、なんで?べ、別に……」
図星を指されたものだから少し声が上擦った。
「ねえちゃん……わかるよすぐに……わかんないのは悟天くらいなモンじゃない?」
少し呆れ気味に言うトランクス君。ホントこの子って……。
「ねえちゃん、何が原因か知らないけどさ、このまんまじゃ悟飯さんに嫌われちゃうよ?」
「えっ!?」
必要以上に大きな声を出してしまって、思わず口を両手で押さえる。
「ねえちゃん、もっと素直になんなきゃさ。昨日も言ったけどさ、悟飯さん相当の鈍感だよ? まあどうせねえちゃんの機嫌が悪いのだって悟飯さんが原因でしょ?」
トランクス君は何もかも見透かしたような顔で言った。
……ホント……ただの子供じゃないわね……。
「で、何が原因?」
トランクス君は満面の笑み、いえ、何かを期待するような、目をキラキラさせて言った。
結局それが聞きたかったのね……。
「な、何でもないわ。トランクス君が気にする事じゃないわ」
ニッコリと笑って言ってやる。
原因聞きだして何かしようって手には乗らないわよ!!
すると小さく「ちぇっ」と舌打ちしたのが聞こえた。
やっぱり何か企んでたわね……。
でも……。
やっぱり女は素直な方がいいのよね……?
少し、ほんの少しだけど、トランクス君に感謝した。
end