雨の日の唄

□雨の日の唄91〜120
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雨の日の唄116


「結構進んだな」

 広げていた参考書とノートを閉じる。

 昨日は勉強は出来なかったけれど、今日は随分進んだ。
 悟天もトランクスもよっぽど疲れたのかまだハンモックで寝ている。
 
 ビーデルさんもグッスリ寝ているようだけど、疲れてるのかな?それとも夕べ眠れなかったのかな?

 そんな彼らを見ていると、だんだん僕も眠たくなってきた。

 このカプセルの中はとても天気が良くて、心地いい風も吹いている。

 こんなカプセル作っちゃうなんて、ブルマさんてホントにスゴイよなぁ……。

 未来のブルマさんはタイムマシンまで作っちゃうんだもんな。
 それを思うと、このカプセルくらいなら何でもないのかも知れないな。

 そう言えば向こうのトランクスさんは元気だろうか?
 向こうの人造人間を倒せているといいけど……。

 でも、トランクスさんの力なら一人でも倒せてるはずだ。

 僕が初めてトランクスさんに会ったのはお父さんが宇宙から帰ってきた日だった。
 
 とても強くて、あのフリーザ一味を一人で倒してしまった。

 あのとき既に超サイヤ人にもなれたし、本当に強かった。

 でも後から知ったことだけど、あのベジータさんとブルマさんの子だったなんて夢にも思わなくて。

 だってあのベジータさんだし。

 でもあっちのトランクスさんもベジータさんに会えて嬉しそうだったし、ベジータさんも何か雰囲気変わったというか、こっちのトランクスにもよく構うようになったってブルマさんも言ってた。

 幸せそうでよかった。心底そう思えた。

 今ここにいるトランクスはあのときの戦いのことはよく知らないだろう。
 ブルマさんのことだから粗方話してるかも知れないけど、必然的にお父さんのことを話さないといけないから、そんなに詳しく話していないのかも知れない。
 
 こっちのトランクスは変にブルマさんに似ていて妙に頭が切れる。
 環境の違いなんだろうか、あっちトランクスさんとは若干性格が違うようにも思うのだけど……。

 いろんなことに気が付くから、きっとお父さんのことも悟天の前では言わない方がいいと気を使ってくれていただろうことは容易に想像できる。

 悟天のことも親友だと思ってくれているし、悟天にいい友達がいて本当によかった。

 でも時々マセてるというか、悟天に余計なこと教えたりするのはちょっと勘弁して欲しい……。

 悟天のヤツ、お父さんに似て天然だから何でも鵜呑みにするし、それを人前で言っちゃうっていう危うげなところがあるんだから。

 それが悟天のいいところでもあるんだけど、昨日もハラハラしっぱなしだったよ、この二人には……。

 今日はまだ大人しい方だけど(まあ寝てるしね)、もうこれ以上余計な騒動は起こさないで欲しいよ。

 でもまあ、子供っぽくないくせに妙に子供っぽいところもあるんだよな、トランクスって。

 未来のトランクスさんの分まで、こっちのトランクスには幸せになって貰いたいって思う。


 きっとあちらの彼は一人で何もかも背負って、平和な世の中になってもいろんなものを背負っていくんだろう。

 あちらのトランクスさんに思いを馳せる。

 元気でいて下さい。

 それから、

 幸せになって下さい。


 end
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