雨の日の唄
□雨の日の唄91〜120
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雨の日の唄92
「悟天てさ、ホントにおじさんにそっくりだよな?」
「そお?」
キョトンとした顔で答える悟天。もしかして自覚なし?
「そっくりだぞ? てかそのまんまってカンジ。おじさんがちっさくなったら悟天で、悟天がおっきくなったらおじさんってカンジ?」
まさしくその通り。
一度ママに聞いたことがある。『悟天のパパってどんな人だったの?』って。
ママはおじさんのこと子供の頃から知ってるって言ってたし、天下一武道会に一日だけ帰ってくるって言ってたから気になったんだ。
そしたらママは、
『そうねえ、悟天君をそのまんま大人にしたカンジかしら?』
って言った。
どういうこと?って聞いたら、
『見た目もそのまんまなのよ。赤ちゃんの悟天君を初めて見たときね、思わず『孫君』って言っちゃったわよ。それっくらいそっくりなのよ。悟飯君も結構似てるんだけど、もう悟飯君以上なわけ!! 中身もね、そのまんまよ。そりゃ悟天君にはお母さんもお兄ちゃんもいてるから、まだマシなんだけど、あの子無邪気って言葉そのまんまじゃない? 孫君も正しく無邪気の一言で片付くくらいなのよ。まあ結婚してからちょっと俗っ気出てきたみたいだけど?』
って笑ってた。
「そんなに似てるの?」
「ああ、そっくりすぎるくらい」
さっきのまんまキョトンとする悟天は、何か思い出したように言った。
「そう言えばね、みんなぼくを見るたんびに『ますます悟空に似てきた』って言ってた」
「だろ?」
オレだって初めておじさん見たとき、あんまり悟天にそっくりでびっくりしたもんね。
ママに聞いてた以上に似てた気がする。
「でもいいよなぁ。あんだけパパに似てるんだもん……」
「トランクスくんだっておじさんに似てるじゃない?」
オレもパパに似てるとは言われるけど……でも悟天のところほどじゃないし。
悟飯さんだっておじさんに似てるし、何かワケわかんないけど、羨ましいって気持ちもなくない。
「そうだけどさ。まあオレ、ママの要素もあるけどさ」
あのパパとママの子って思えば嬉しくないわけでもない。だからいいか。
「悟天なんてまんまおじさんだもん。おばさんに似てないもんな」
「そんなことないよ」
悟天はちょっと口を尖らせて言った。
「おとうさん言ってたもん。『オメエはオラにそっくりだけど、母ちゃんにも似てるな』って」
「そうなの?」
まんまおじさんの悟天なのに、どこがおばさんに似ているんだろ?
「おとうさんがね、ぼくの笑った顔がおかあさんに似てるんだって言ってた。それでね、すっごくうれしそうな顔したんだ」
そう言う悟天の顔も嬉しそうだ。
やっぱり、両親両方ともに似る方が嬉しいもんなんだな。
悟天はお母さん大好きだから余計嬉しいんだろうな。
それにおじさんが生き返ってからお父さん大好きにもなったくらいだし。
「でもね、兄ちゃんに似てるって言われるのも嬉しいの!!」
おじさんが言うところのおばさんそっくりの笑顔で言った。
結局のところ、悟天は家族大好きってヤツなんだよな。
end