過去拍手SS

□Best friend
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「ねえねえ、おにいちゃん」

 悟天は未来からやってきた自分の親友の成長した姿を持つ青年に、少し恥ずかしげに声をかけた。

「なんだい?」

 その青年は遊び疲れて寝てしまったトランクスに膝枕をしたまま、悟天を見て微笑んだ。

「おにいちゃん、トランクスくんなんでしょ?」
「ああ、そうだよ」

 悟天はパアっと顔を明るくした。

「おにいちゃん、おとうさんを助けてくれたんだってね?今兄ちゃんに聞いたんだ」
「そうなんだ……」

 ああ、この顔は夢の中の少年と同じだ。トランクスはそう思った。

「おにいちゃんの世界じゃぼくはいないんでしょ? おにいちゃんがおとうさんを助けてくれたからぼくが生まれたっておとうさんが言ってたんだ」

 そういう事になる。あの時トランクスが悟空に心臓病の特効薬を渡したから、悟空は生き延び、悟天という命が宿った。

「ありがとね、おにいちゃん!!」

 悟天は悟空そっくりな笑顔で言った。

「オレも、悟天君が生まれてくれて嬉しいよ」

 そして、こちらの自分の親友である事も―。

「おにいちゃんもトランクスくんだったら、おにいちゃんもお友達だね!!」

「……友達……?」

「そうだよ。だってトランクスくんなんでしょ? トランクスくんはぼくの一番のお友達だもん。だからおにいちゃんも一番のお友達!!」

「……悟天くん……」

 嬉しかった。こちらの自分の親友は自分まで親友と呼んでくれる。

「そうだね……友達だね」

「うん、お友達!!」

 悟天は満面の笑みでその言葉をくり返した。

 その様子を悟空と悟飯は微笑みながら見ていた。


 友達―。


 オレは今、子供のように笑っているんだろう……。

 トランクスは夢の中の少年と、やっと本当の親友になれた気がした。


 end

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