過去拍手SS
□For a long time(悟チチver.)
1ページ/1ページ
「ふあ〜っ」
悟空は大あくびをして寝転んだ。
寝転びながら向こうの川を見ると、悟飯と悟天がはしゃぎながら釣りをしている。
今日は悟飯の学校が休みだし、悟空も修行を休みにして子供達と川へ釣りをしにやって来た。
(平和だなぁ……)
この間まで自分は死んだ人間で、地球が滅びたとは思えないくらい平和だった。
こうして生き返って、こうして自分の家に戻ってきて、こうして家族ともう一度共に暮らせるなんて思いもしなかった。
そして、こうして息子達と釣りに来れるなんて事も。
「悟空さ」
ボーっと息子達がはしゃぐ姿を見ていると、頭上から声がした。
「お弁当、持って来ただよ」
「おう。すまねえな」
そう言って身体を起こす。
「なあチチ、ここに座れ」
悟空は今まで寝転んでいた場所を指差して座るように促す。
「うん?」
チチは悟空に言われた通りに座ると、突然悟空は膝に頭を乗せてきた。
「ご、悟空さっ!?」
「へへっ、膝枕」
嬉しそうにチチの膝に頬を摺り寄せてきた。
「もうっ、こんなところで恥ずかしいべ!!」
チチは文句を言いながらも悟空のしたいようにさせている。
髪を撫でるチチの手が気持ちいい。
チチの膝も、頬を撫でる風も、太陽の光も、子供達のはしゃぐ声も、全部が心地いい。
「気持ちいいだな……」
「……ああ……」
目を細めて子供達を見ているチチ。
悟空もそれに倣い、子供達を見る。
これからは子供達の成長をこの目で見てやれる。
そして、チチを同じ方向を見て生きていける。
明日も明後日も、ずっとこうして―。
end