過去拍手SS

□For a long time(孫家ver.)
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「あーっ、おとうさんズルイッ!!」

 悟天の声につられて振り返ると、チチの膝枕で悟空が寝ているところだった。

「うわっ!!」

 思春期を迎えた悟飯には、両親のそういう姿は少しむず痒い。

 昔は両親が仲良くしてる姿を見るのはただ嬉しいだけだったけれど、今は何とも複雑な気持ちも混ざり……。

「おとうさんだけズルイよっ!! ぼくもっ!!」
「待て悟天っ!!」

 今にも飛んで行こうとする弟を慌てて制する。

「なんで?」
「なんでって……」

 今悟天を行かせると、悟空の目での『何とかしろ』攻撃が始まるのは目に見えている。
 かと言って悟天に何て説明したものか……。

「えっと……あっ!!」
「なぁに?」

 悟天は悟飯の顔を見上げている。

「悟天」

 悟飯は真剣な顔で悟天の目を見てその名を呼んだ。

「兄ちゃんもお前も、お父さんとお母さんが大好き同士だから生まれたってわかるよな?」
「うん」

「その大好き同士のお父さんとお母さんが7年間もずっと離れ離れだったんだ」
「……うん」

 真剣な眼差しの悟飯に、悟天の顔付きも神妙になってきた。

「だから、7年間離れ離れだった分、ずっと一緒にいたいって思うんだ」
「……うん」

「そんなお父さんとお母さんの邪魔しちゃ悪いって思わないか?」
「……思う……」

「兄ちゃんの言ってる意味、わかるよな?」

「うん。お父さんもお母さんもずっと会えなくて寂しかったんだもんね。仲良くしてるとこ、邪魔しちゃダメなんだよね」

 悟天は笑顔で言った。

 悟飯は微笑み、悟天の頭を撫でる。

「偉いな悟天は。きっとお父さんもお母さんも褒めてくれるよ」
「ホントッ!?」

 悟空そっくりの顔で笑う。

「でもね、おとうさんにおかあさん貸してあげるのも、おかあさんにおとうさん貸してあげるのも、たまにだからねっ!!」

 そう言って嬉しそうに釣竿を握る。

「……たまにか……」

 悟飯は苦笑した。


 それでも。

 
 ここにはやんちゃで我がままで甘えん坊だけど、素直でかわいい弟。

 向こうを見れば7年振りの逢瀬を楽しんでるかのような仲の良い両親。


(幸せだな)

 これからも続く家族揃っての生活を思い、悟飯は空を見上げた。


 end

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