過去拍手SS
□daughter
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ベジータとブルマに第二子が誕生した。
ブルマによく似た、かわいらしい女の子だ。
「名前はね、ブラって言うの」
ブラを見にカプセルコーポレーションに来ていた悟空とチチにブルマは告げた。
「かわいいだなぁ〜やっぱりいいべ、女の子は」
チチは嬉々として言う。
「やっぱり女の子はいいわね。一緒にお買い物も出来るもの。でももっと早く産みたかったな。姉妹みたいな親子って言われたかったもの」
ちょっとむくれるブルマにチチは苦笑する。
「でもブルマさ十分若いべ」
「やだチチさん、お世辞はいいわよ〜!!」
顔に手を当てながら身体をくねらせる。そんな様子もブルマを一層若くみせている気もする。
「どうだカカロット。娘だ。貴様の所には男ばかりで娘がいないだろ?いいだろ?娘は」
ブラの父親のベジータは、永遠のライバル・カカロットこと悟空にむかって勝ち誇ったかの如く、そう言った。
「オラんトコもいるぞ。娘」
悟空はキョトンとした風に答えた。
「貴様の所にいる娘は悟飯の娘だろう?それは孫娘であって貴様の娘ではない。ブラはオレの娘だっ!!」
ベジータは胸を張り叫んだ。
「……でもよう、孫娘でも娘だろ?」
「笑止っ!!」
「何だよ、ワケわかんねえなあ……」
悟空はそう呟いたが、いつもの如く「まいっか」と言って終わらせた。
(フフフ……勝った……)
ベジータは自分には娘がいるが悟空にはいない。その事に対して優越感を抱いていた。
……が、しかし……。
ベジータは程なくして気付く。
(……孫……?……カカロットには孫がいるっ!!)
確実に負けている。自分にはまだ孫がいない。
(な、なんて事だ……)
先程とは打って変わって落ち込むベジータの姿に、その場にいた一同が怪訝に思う。
「どうした? ベジータ」
悟空が声をかけると、
「トランクスッ!! 今すぐ子供を作れっ!!」
「へっ!?」
ベジータの突然の発言に一同は驚いたが、ブルマだけは平然としていた。
(やっと気が付いたようね)
心中で呟き、トランクスに詰め寄るベジータに苦笑する。
「いいから子供を作るんだっ!!」
「無茶だってばっ!!」
騒がしいけれど…
「……平和ね……」
ブルマは自分の胸の中のブラに問いかける。
「おもしろいお父さんね〜?」
呆気にとられる一同を尻目に、ブルマだけは幸せを実感していた。
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その日の夜、パオズ山にある孫家の夫婦の寝室では……
「なぁ〜チチィ〜、オラも娘が欲しい〜。」
「何言ってんだべ? うちにはパンちゃんがいるでねえか?」
「ちげえよ、オメエとオラの娘が欲しいんだっ!!」
「……孫がいるのに何言ってんだべ?」
「んなの関係ねえよっ!! ブルマだってあの年で子供産んでんだからよっ!!」
「……おめえ、それブルマさの前で言ったら殺されるべ……」
「なあなあ、チチィ〜、娘が欲しい〜」
「……おめえ……それを口実にしてるだけでねえか……? ……んっ!?」
なんてやり取りが交わされていたのは夫婦だけの秘密。
end