過去拍手SS

□いい夫婦の日
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ブウ戦後ver.


「お父さん」

 夕食後、悟空はリビングで寛いでいると、部屋の外から悟飯に小声で声をかけられた。

「何だ?」
「ちょっと来て下さい」

 そう言って手招きをする。

「?」

 悟空は怪訝に思いながらも悟飯の元へ行く。

「明日は何の日か覚えてます?」
「明日?」

 悟空はキョトンとして、悟飯の言った事を考える。

「『いい夫婦の日』ですよ」
「あ、そっか!!」

 毎年いい夫婦の日にはチチを裏山に連れて行って花を見るのが習慣となっていた。

 昔、悟飯にその日の事を教わってから、悟空は何のトラブルにも巻き込まれていない限りはそうしていた。

 結婚記念日もチチの誕生日も、そうするようにしている。

 しかしそれも、今回のように悟飯に指摘されてから気付くのだが…。


 今年は7年振りの『いい夫婦の日』だった。

「久しぶりだな……」
「お父さん、ちゃんとお母さん孝行して下さいよ?」
「わかってるって!! 任せとけ!!」

 悟空は胸を叩いた。

 毎年この日はチチも喜んでくれる。

 この日に限っては悟飯も邪魔はせず、夫婦二人っきりの時間を作ってくれた。

「……ただ悟天がなぁ……」

 甘えん坊の次男は付いてくると言うだろう。

「あ、悟天の事は任せて下さい。僕、明日悟天を連れてカプセルコーポレーションへ行ってきますから」

 悟飯は悟飯ですでに計画を立ててるようだった。

「悪いな、頼んだぞ」
「はい!!」

 そう言って笑った悟飯の顔は、初めてこの日の事を教えてくれた時の顔と同じだと、悟空は思った。


 明日、チチを誘って裏山へ行こう。

 そして、あの時と同じく、二人で野の花を愛でるのだ。


 end
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