過去拍手SS

□最愛
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 やっと、自分のあるべき場所が見つかった、そんな気持ちだった。

 最悪な初対面だったのに、今は一番求めるべき相手。

 皮肉な運命の渦に巻き込まれた私達は、それでも本当の相手を間違わなかった。

 どんなに遠い場所でも、どんなに立場が違えど、それでも出逢える奇跡。

 違う星に生まれ落ちても、お互いを見つけ合える奇跡。


 ああ幸せ。


 この先、どんな運命が待ち受けていようとも、この背中とこの胸の温もりが、今の私の全てだ。

 友人を、世界中を、この世を、全てを敵に回しても、この温もりがあれば何もいらない。


 少女の頃、どうしてドラゴンボールなどで恋人を手に入れようとしたのだろう。


 そのようなものが無くとも、こうして運命の人を手に入れられる。


 かつて、自分がこの広い世界に連れ出した、この人の同胞の男の妻は、自分の力で運命の相手を手に入れた。


 私は彼女が羨ましかった。


 好きな人との約束の為ならば、どんな苦労もいとわない健気さ。

 唯一無二の夫の為ならば、どんな試練にも耐える強さ。


 私には無いものだった。

 そんな風になれる事が羨ましかった。

 でも、私も手に入れた。そう思える人が。


 私も彼女のような苦労をするかも知れない。

 でも構わない。


 こんなにも、安らかに眠る彼の傍にいられるのならば。


 やっと手に入れた、

 最愛の人―。


 end

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