過去拍手SS

□Christmas Present
1ページ/3ページ

悟飯ver.


「おとうさん、サンタさん、ぼくのところに来てくれないの。ぼくわるいこなのかな?」

 息子と湯船に浸かっていると唐突に言ってきた。

「何でだ?悟飯はいい子だろ? 母ちゃんいつも『悟飯はいい子だ』って言ってっぞ?」

 半べそをかきかけてる息子の顔を覗き込んで言ってやる。

「……だって……」
「何だ?」

 言いにくそうな息子の身体を持ち上げ、目線を同じにする。

「……だってね……」
「うん?」

「だって…ぼくの本当に欲しいもの、全然くれないんだもん……」

 少し愚図り気味なのは、欲しいものが貰えない事より、自分が悪い子かも知れないという事に対してなのだという事は、自分達夫婦はよく知っている。

「悟飯は本当は何が欲しいんだ?」

 さり気なく聞いて、あとで妻に伝えよう。

「……ほんとはね……」
「何だ?」

「ぼく本当はね、おとうとが欲しいの……」
「弟?」
「うん……」

 遠慮がちに言う息子に再度確認する。

「悟飯は弟が欲しいんか?」
「うん」

「……そりゃあ、サンタさんでもどうにも出来ねえなあ……」
「なんで?」

 キョトンとしている息子に何て言ったらいいものか。

「……何でって言われてもなぁ……」
「なんで?なんで?」

 困った……上手く言えない。

 もうこれは本当に弟を作ってやるしかないか。と思った。


 end
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ