リクエスト・捧げもの

□素敵なトライアングル
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「ビーデルおねーちゃーんっ!!」

 幼い子供に名前を呼ばれ振り向くと、向こうから見覚えのあるツンツン頭の少年が手を振りながら駆けてくる。

「あら? 悟天君?」

 すると私の腰に抱きつき、顔を見上げて、

「こんにちは、おねえちゃん!!」

 彼によく似た笑顔で言ってくる。

「こんにちは、悟天君」

 へヘヘッと笑うその顔は、癒し系というか、何か胸がほんわかとして、こちらまで笑顔になってくる。

「今日はどうしたの? お兄ちゃんは?」

 私は今日は彼とデートのはずだったのだけれど、どうしてここに弟の悟天君がいるのだろう?

「悟天っ!! 待てって!!」

 悟天君がやって来た方から、私の彼、孫悟飯君が(文字通り)飛んできた。

「ヘヘッぼくも来ちゃった」

 悟天君は満面の笑顔で言った。

「すみませんビーデルさんっ!! 悟天っ!! お前、兄ちゃんの目覚まし勝手に止めただろっ!?」

 悟飯君は息を切らせながら言った。

「悟天君?」

 まだ私の腰に抱き付いている悟天君を見下ろすと、少し泣きそうな顔で、

「だってぼく、ビーデルおねえちゃんとでーとがしたかったんだもん。」
「「デート?」」

 私と悟飯君は同時に言った。

「うん。ぼくビーデルおねえちゃん大好きなんだ。ねえおねえちゃん、ぼくと結婚してくれる?」
「「結婚っ!?」」

 またもや同時に言った。

「ご、ご、悟天、お前、何言ってんだっ!?」
「そうよ悟天君っ!?」

 悟飯君は驚きのあまりどもっているし、私も何がなんだか…。

「だって大好きだと結婚するんでしょ?」

「それはそういう場合も……って、そうじゃなくて、何でそうなるんだ? お前、この間までお母さんと結婚するって言ってたじゃないかっ!?」

 悟飯君……ツッコむところはそこじゃないわ……。

「だって、おかあさんはもうおとうさんと結婚してるんでしょ? おとうさんが、おかあさんはおとうさんと結婚してるから、ぼくとは結婚できないって言ってたもん」
 ちょっとふてくされ気味で言う悟天君。

「……全くお父さんは……子供に何本気になってるんだか……」

 少々呆れ気味で呟く悟飯君。だからそこじゃないと思うけど……。

「ねえねえおねえちゃん、ぼくと結婚して!!」

 腰のところから見上げてくる悟天君の目は何かに期待しているかのようにキラキラしている。

 ああ、この目で見られると弱い……。キュンってなるのよね……。

「だから悟天っ!! 何言ってんだっ!?」

 悟飯君はかなり動揺している。…何だかおもしろくなってきた。

 こんなかわいい子にプロポーズされるなんて悪くはないわ。

「……そうねえ……悟天君がもっと大きくなって、悟飯君より賢くなって、それから強くなって、それでも私の事を好きでいてくれたら……結婚してもいいわよ」
「ホントッ!?」
「ビーデルさんっ!?」

 兄弟は同時に叫んだ。

「もっともっと先の話だけどね」

「ヤッターッ!!」
 
 嬉しそうに(文字通り)飛んでる悟天君と、真っ青になって絶句している悟飯君。

 あんまり好きって言ってくれない彼とストレートに言ってくれる彼の弟。

 たまには彼に焦って貰うのもいいわね。

 口をパクパクさせている彼を尻目に、私は悟天君と手を繋いで歩き出した。



ちょっと素敵なトライアングル。

こんな関係もいいじゃない。


 end

→あとがき
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