リクエスト・捧げもの

□今日もいい天気
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「今日は洗濯日和だべなぁ!!」

 チチは洗濯かごを抱えて感嘆の声をあげた。

 澄み切った青空。雲ひとつない、絶好の洗濯日和。

 それに風が少し吹いていて、最高に気持ちがいい。

 洗ったシーツも、悟空が生き返ってから増えた道着や下着といった洗濯物も、全部あっという間に乾くだろう。

 修行に出て行った悟空も、ついて行った悟天も、どうせ真っ黒になって帰って来るのだろう。

 チチは小さく溜息を吐いたが、それも幸せのうち。

 悟空が汚したものも、使ったシーツも、洗える事が何よりの幸せ。

 悟空が傍にいる事を実感できる。

 ついこの間までは忘れていた小さな事だけれど、とても大きな幸せ。

 チチは洗濯物を干しながらフッと笑みを漏らす。

 悟空が道着を破いて、ばつも悪そうな顔で帰ってくる姿を。
 悟天が悟空そっくりの顔で、悟空の後ろで汚れた道着を隠すようにしてこちらを覗いている姿を。
 悟飯がグレートサイヤマンの姿で意気揚々と戻ってくる姿を。

 想像するけれど絶対に間違いないな。と思う。

 今日ももう一回洗濯せねばな。

 まいっか。と夫の常套句を吐いて、洗濯物を干す。

 今日はいい天気だし、最高にいい気分だから、よほどの事以外は許せそうな気がする。

 さて、お昼にお腹を空かせて帰ってくるサイヤ人達の為に大量の昼食を用意するべか。
 おやつに中華まんも作っといてやるべ。

 洗濯を干し終わるといそいそと昼食の準備を進める。
 
 先程朝食を終えたばかりだというのにもう昼食の準備。今日は悟飯も学校は午前中だけだから昼食はいると言っていた。

 折角だからビーデルさとデートして来いと言ったら真っ赤な顔で逃げるようにして飛んで行った。
 
 その様子を思い出して、思わず笑みをこぼす。

 悟空が死んでいた頃は、悟飯は学校だし、悟天と自分だけだったからもう少し昼食の準備は遅くてもよかった。その間の時間を利用して、悟天に武術を教えたりしていたのだけれど。

 今は悟空が悟天を見てくれるし、何より悟空の食事を用意できる事は嬉しい。

 どんなに大飯食らいでも、自分の時間が減っても、悟空の為に何かが出来るなんて嬉しい事なのだ。

 昼食の準備を終え、外に置いてあるベンチに腰掛ける。

 ここでよく悟飯も悟天も抱いてお昼寝をしたな。なんて思い出にふける。

 そのうちだんだんと微睡んできた。

 夕べも悟空の我がままに付き合ったのだから眠くて仕方がない。

 どうしても睡魔に勝てそうにない

 チチはそのまま眠りに就いた。

「チチィ〜たでえまぁ〜。腹減ったぁ〜」
「おかあさ〜ん、ただいまぁ。お腹空いたよ〜」

 同じ顔の二人が瞬間移動で戻るなり同時に言う。

「あれ?寝てら」
「ホントだね。おかあさん寝てないのかな? どうしたのかな? おとうさん何か知ってる?」
「さあな? どうしたんだろな? 父さん知らねえなぁ?」
 チチを寝かせなかった張本人は誤魔化すしかなくて。

 幸せそうに寝ているチチを見ていると、いくら腹が減っても起こす気になれない親子。

「悟天、メシ我慢できるか?」
「できるよ。お父さんの方が我慢できないんじゃない?」
「父さんだってできるぞ」

 そう小声で言いながら悟空はチチの隣に座る。
 その膝には悟空のミニチュアのような悟天。

「……オラも眠くなっちまった……」
「ぼくも……」

 そのまま二人で夢の中。

 学校から戻って来た悟飯によって起こされるまで、もうしばらくこのままで。


 end

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