リクエスト・捧げもの

□Displeased father
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 悟飯は機嫌が悪い。
 見た目は本当に普通なのだけど。でもちょっとだけ気を操る訓練をしたから、悟飯の気がピンッと張り詰めているのはわかる。

 これも娘の事が原因なのだ。
 
 それもこれも大事な大事な一人娘が恋をしているようなのだ。

 しかもその相手が厄介だ。

 悟飯の弟の悟天の親友のトランクス。悟飯にとっても弟のような存在。

 パンよりも10歳以上も年上で大富豪のお坊ちゃま。今は社長職に就いているようだ。
 それに頭も見た目もいいセレブだから取り巻きの女性も大勢いる(本人は鼻にもかけていないようだが)。

 娘はそんな彼に恋をしてしまったのだから心配でたまらないと同時に娘が他の男に取られてしまうかも知れないという男親特有の心境に苛まれているのだ。

(男って勝手なのよねえ。自分だって同じ事したのにね?)

 悟飯だってビーデルと結婚する時のサタンに同じ思いをさせているのだ。きっとサタンもビーデルの母と結婚する時に同じ思いをさせた事だろう。


 それにしてもトランクスとは……。

 パンにしたら自分の叔父の親友。
 確かにトランクスの妹のブラと一緒によく遊んで貰ったし近い存在ではあるが……。

(多分あの頃から憧れてはいたんだろうけどねえ……)

 今年12歳になったばかりだけど、恋もしちゃうお年頃なんだ……なんて感慨深いものがある。

 ……でもあの人がねえ……意外と子煩悩な夫を思うと溜息も出る。

(別にお嫁にいくわけじゃないのに、今からこれじゃ思いやられるわ……)
 
 ビーデルは更に溜息を吐いた。




「ブラちゃん、今日トランクスは?」

 パンは西の都の親友の家に遊びに来ていた。

「お兄ちゃん?今日は泊まりでお仕事みたい」
 ブルマに似て大人びたところがあるブラは真っ赤なマニキュアを塗りながら言った。

「……そう……(って奇抜な色ね……)」
 胸中ツッコミを入れながらも、トランクスに会えない事に何となく物悲しさを感じる。

「あ、そろそろ帰らないと。最近パパの機嫌が良くないのよね。ニコニコしてるんだけど気がピリピリしてんの。何となく怖くって」
 
 パンは苦笑しながら言った。

「うちのパパなんていつも機嫌悪いから機嫌のいい時の方が気持ち悪いわよ」

 ケラケラ笑いながら言う姿がブルマそっくりだった。

 パンは思わず引きつった笑いを浮かべた。

 
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