リクエスト・捧げもの

□小さな君と大きな約束
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「ホント!? おとうさん!!」

 悟飯は修行から戻ってきた悟空と風呂に入りながら、そのかわいい声を上げた。

「おう、ホントだぞ。こんな小さなキツネの子がいたぞ」

 悟空は悟飯を膝に乗せ、湯船に浸かりながら手で子ギツネの大きさを表した。

「かわいかった?」
「かわいかったぞ。でも悟飯が一番かわいいな」

 悟空はそう言って悟飯にお湯をかける。

 キャッキャッと風呂ではしゃぐ悟飯の声を聞きつけ、チチが脱衣所から声をかけた。

「悟空さ。悟飯ちゃんがのぼせる前に出してけろよ」
「おう。ほら悟飯。出るぞ」

 悟空は悟飯を抱き上げ湯船から出すと、チチが扉を開けバスタオルを広げて悟飯を捕まえた。

「悟飯ちゃん、今日は特に嬉しそうだべな?」

 悟飯の身体を拭きながらチチは聞いた。

「うん、あのね、おとうさんキツネのこどもみたんだって」
「キツネの子だべかぁ、そりゃかわいいだろうなぁ」

 くすぐったそうに身を捻る悟飯は母に訴えた。

「ぼくもみたい!!」
「悟飯ちゃんもだべか?」
「うん!!」

 大きな目を輝かせて母を見る悟飯。

「じゃあ父ちゃんが連れてってやろう」

 湯船から悟空が声をかける。

「ホント!!」
「ああ。明日はもちっと修行してえから明後日な」
「ホントにホント?」
「ああ、約束な」
「やったーっ!!」
「こらっ!! 悟飯ちゃんっ!!」

 喜びのあまり裸のまま悟飯は駆け行った。

「まったく……悟空さ、大丈夫だべか?」

 悟飯を追うため脱衣所を出ようとしたチチは、湯船の悟空に振り返り言った。

「でえじょうぶでえじょうぶ!! そんなに危なくねえトコだしよ」

 能天気に笑いながら悟空は言った。

「そういうことを言ってんじゃねえけんど……あ、こら悟飯っ!!」

 チチはそのまま悟飯を追いかけて行った。

「さぁてと、オラの上がるとすっか」

 悟空はそう言って湯船から出た。

 
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