雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄9


「ホント、これどうなってるのかしら……?」

 ブルマさんの開発したキャンプ場のカプセルの中は広々とした空間だった。

 外は雨なのに、この中は晴天だ。

 とてもじゃないけどカプセルの中に見えない。

 本当にブルマさんって天才だわ……


 悟天君を迎えに来た悟飯君についてカプセルコーポレーションに来たんだけど、その時ブルマさんにキャンプ場のカプセルのモニターを頼まれた。

 面白そうだし、何より悟飯君が一緒だから絶対にやりたいって思ったんだけど、パパが許すはず無いって言ったらブルマさんがパパに電話してくれて、そしたら二つ返事でお許しが出たから少し驚いちゃった。

 パパったら悟空さん達には頭が上がらないから、仲間のブルマさんの言う事は聞いちゃうみたい。

 お陰で悟飯君と週末キャンプを楽しめるわけだけど。


 でもホント、スゴイわ……


 まわりをキョロキョロと見回していたら、悟飯君の小さな溜息が聞こえた。

「ごめんなさい悟飯君、何かびっくりしちゃって……」

 私は興奮してしまい、キャンプの準備を悟飯君に任せっきりにしてしまった。

 悟天君とトランクス君ははしゃいじゃってるし……

「いいんですよ。誰だってこんな所に来たら興奮しますよ」

 悟飯君はもの凄く優しい笑顔で言った。


 悟飯君、相変わらず優しいんだから……ちょっとくらい咎めてくれたっていいのに……

 でも悟飯君の優しさは罪だわ。誰にでも優しいんだもの。勘違いしてる女の子だってたくさんいるに違いない。


 ……私もその一人かも知れないけど……


 そう思うとちょっと寂しい。出来るなら、悟飯君の特別になりたい。

 でも、こうやって悟飯君と放課後や週末を一緒に過ごせる事はとても幸せなのかも知れない。


 それに彼の秘密を知っているという事も―。


 いつか、特別に思って欲しい。

 今は友達のままでもいい。

 一緒にいられる事が幸せだから。


 end
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