雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄11


「トランクスはどうした?」

 べジータは重力室から戻るなり、そう言った。

「庭のカプセルの中。うちで新開発したキャンプ場のカプセルのモニターやって貰ってんのよ。悟飯君と悟天君とビーデルちゃんも一緒にね。」

 窓の外を指差しながら言う。

 外はまだ雨が降っている。

「…そうか。」

 ベジータは一言だけそう言うと冷蔵庫からジュースを取り出して一気に飲んだ。

 この人、子供に関心ないフリして実は結構気にしてんのよね。戻ってきて第一声がトランクスだし。

「ねえ、べジータ。孫君たらおもしろいのよ。悟飯君と悟天君がいないから舞い上がっちゃって。」
「何?アイツ、子供が嫌いだったのか?」

 べジータは少し怪訝な顔をした。

「違う違う、そうじゃなくて、久し振りに二人っきりってワケよ。チチさんと。悟天君に邪魔されて大変だったみたいだから。」

 べジータは私の言わんとする意味を理解し、顔を真っ赤にさせた。

「カカロットのヤツ…何て破廉恥な…。」

 結構生真面目なのよね、この人。まあ、そんなところもかわいいんだけど。

 私は向かいのソファに座るべジータの隣に座って腕を組んだ。

「ねえべジータ。私達も2日間二人っきりよ?」
「何だと?」

「あら?知らなかった?パパとママも旅行に出掛けてるのよ。だから私達も二人っきり。」

 そう言ってべジータの腕に顔を擦り付けた。

「な、何言ってる!?庭にトランクス達がいるんだろうっ!?」

 真っ赤になって焦るべジータ。本当にかわいすぎだわ。

「大丈夫よ。あの子達、非常事態でないと出て来ないから。それに悟飯君がいるのよ?大概の事は彼が何とかするわ。」

 全部悟飯君に任せちゃって申し訳ないけどね。子供達だけで何とかさせるのも親としての勤めよね。

 なんて自分を納得させる。

「…そうか…。」

 これはべジータの肯定の意思表示のようなもの。

 孫君とチチさんのように、私達も二人っきりを満喫させて貰うわ。 


 end

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