雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
12ページ/31ページ
雨の日の唄11
「トランクスはどうした?」
べジータは重力室から戻るなり、そう言った。
「庭のカプセルの中。うちで新開発したキャンプ場のカプセルのモニターやって貰ってんのよ。悟飯君と悟天君とビーデルちゃんも一緒にね。」
窓の外を指差しながら言う。
外はまだ雨が降っている。
「…そうか。」
ベジータは一言だけそう言うと冷蔵庫からジュースを取り出して一気に飲んだ。
この人、子供に関心ないフリして実は結構気にしてんのよね。戻ってきて第一声がトランクスだし。
「ねえ、べジータ。孫君たらおもしろいのよ。悟飯君と悟天君がいないから舞い上がっちゃって。」
「何?アイツ、子供が嫌いだったのか?」
べジータは少し怪訝な顔をした。
「違う違う、そうじゃなくて、久し振りに二人っきりってワケよ。チチさんと。悟天君に邪魔されて大変だったみたいだから。」
べジータは私の言わんとする意味を理解し、顔を真っ赤にさせた。
「カカロットのヤツ…何て破廉恥な…。」
結構生真面目なのよね、この人。まあ、そんなところもかわいいんだけど。
私は向かいのソファに座るべジータの隣に座って腕を組んだ。
「ねえべジータ。私達も2日間二人っきりよ?」
「何だと?」
「あら?知らなかった?パパとママも旅行に出掛けてるのよ。だから私達も二人っきり。」
そう言ってべジータの腕に顔を擦り付けた。
「な、何言ってる!?庭にトランクス達がいるんだろうっ!?」
真っ赤になって焦るべジータ。本当にかわいすぎだわ。
「大丈夫よ。あの子達、非常事態でないと出て来ないから。それに悟飯君がいるのよ?大概の事は彼が何とかするわ。」
全部悟飯君に任せちゃって申し訳ないけどね。子供達だけで何とかさせるのも親としての勤めよね。
なんて自分を納得させる。
「…そうか…。」
これはべジータの肯定の意思表示のようなもの。
孫君とチチさんのように、私達も二人っきりを満喫させて貰うわ。
end