雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄16
『あ、ブルマさ?』
受話器を取ると、相手は今現在庭のカプセルの中にいる兄弟の母親からだった。
ふと視線を子供達がいる庭に移す。雨はまだ降っていた。
『すまねえだ。子供達預かってくれて。』
本当にすまなさそうに言うチチさん。
「いいのよ。というか、こっちの方が助かったわ。新しいカプセルのモニターをして貰ってるんだもの。それよりチチさん、孫君、すごく喜んでるんじゃないの?」
『へっ!?』
素っ頓狂な声を上げるチチさん。図星ね。
「どうせ孫君が戻って来てから悟天君ずっとくっついてるんでしょ?それで一見ストレスとは無縁な孫君のストレスが溜まってんじゃない?」
『…何でわかるべ?』
ちょっと恥ずかしそうに小声になる。
「孫君、この間家に来た時に『悟天がずっとくっついて離れねえ』って言ってたのよね。何だかその言葉が悲痛な叫びに聞こえて…もうおかしくって!!」
『…ブルマさ…笑い事でねえだよ…。』
ケラケラ笑う私にチチさんは大きく溜息を吐きながら言った。
「あら?その様子じゃ子供達のいないところでの孫君の攻撃は相当…って感じかしら?」
『…んだ…。』
チチさんは少し恥らいながら、呟くように言う。
孫君みたいな体力バカの相手は疲れるわね。
…でも…孫君の様子を想像するだけでもう…面白すぎる!!
「まあ、悟天君もお父さんにくっついてるの今だけだろうから、そうなれば孫君も落ち着くわよ。」
『…だといいだが…。』
相当お疲れのようね。ちょっと気の毒な感じもしてきたわ。
『それよりベジータさも喜んでるだか?』
あら?うちに摩り替えたわね。まあいいか。
「そうなのよ〜!!でもあの人、意外と子煩悩なのよね。」
『子供に興味なさげに見えるのに。でもベジータさ、結構トランクスに構ってるべ?』
「でしょ?」
傍から見てもそうなのね?でもあの人がトランクスのこと、ちゃんと考えてくれてるのがわかるから嬉しい。
『惚気だべ?』
「チチさんこそ。」
私達は笑い合った。
女同士の会話っていいわね。ついつい時間を忘れちゃう。
でも、電話の向こうから先程会話に出てきた男が電話相手を呼ぶ声が聞こえる。
こっちでも、向かいの男の眉間に皺が増えてきた。
そろそろ電話を切って、自分達の伴侶の相手をしてやるとするか。
end