雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄1


「……さ……悟空さ……」

 しとしとと雨音とともに自分を呼ぶ声が聞こえる。

「悟空さ、起きてけれ」
「……ん……?」

「悟空さ、朝だべ。早く朝ご飯食べてくれねえとテーブル片付かねえべ」
 
 チチに身体を揺すられる。

「……ん……まだ眠い……起きたくねえよ……」
「眠いのはおらも同じだ!! おらだって一晩中おめえに付き合って眠いんだ!! さっさと起きるだ!!」

 そう言って布団をめくり上げる。

「うわっ!?」

 びっくりしてベッドから落ちそうになった。裸だから少し寒い。

「全くおめえはっ!! さっさと服着るだ!!」

 そういうチチの横顔は少し赤い。

 何を今更……と思うが、チチのそういうところがまたかわいいと思う。

「……悟飯と悟天は?」

 息子達の気が無い事に気付く。

「悟飯は学校、悟天はトランクスと遊ぶって雨だってのに出てったべ」
 
 自分のパジャマを抱えて寝室を出て行こうとするチチに聞いた。

「もうそんな時間なんか?」
「そんな時間なんだべ!! 一人で気持ち良さそうに寝て……って今日は修行どうするだ?雨だべ」

「……雨かぁ……」

 今日は何だか億劫だ。

 それに今日は悟天がいない。

「今日は修行休む!!」
「へ?」

 今日はチチと二人っきりだ。

 新婚の頃のようなワクワク感がチチにバレないように、服を着る為に立ち上がった。


 end
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