雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄22


「チチィ〜、まだなんかぁ〜?」

「うるさいべ悟空さはっ!!ちょっとは待てねえのけっ!?」

 チチは受話器を押さえて叫んだ。

 ブルマに電話をかけてから30分、ずっと電話に向かいっぱなしでこちらを気にもかけてくれない。

「待てねえよぉ〜なぁ〜チチィ〜。」

 何度も何度も言ってやる。きっと電話の向こうでブルマが笑っているだろうけれど、そんな事関係ない。

「…すまねえなぁ、ブルマさ…。じゃあまた…。」

 そう言ってチチは電話を切った。よし!!これからは二人っきりの時間だ!!…と思っていたら…

「悟空さっ!!」

 いきなり怒鳴られた。

「な、なんだよ…。」

 条件反射か、チチに怒鳴られると身体が縮こまる気分だ。

「恥ずかしいったらねえべっ!?ブルマさに笑われたでねえかっ!!」
「別に今更じゃねえか…。」

 ちょっとふてくされ気味に言う。

「そうだけんど、ちょっとは大人しくしてけれ。それに何なんだべ?昼間おめえのわがまま聞いたところでねえか?」

 少し顔を赤くして、恥じらいながら言うチチ。

 こういうところがまたかわいい。

「そんなの全然足りねえ!!おめえ、どんだけ離れ離れになってたと思うんだ?こんなのまだまだだ!!」

「…力説するところか…?…それにおら年とっちまって…恥ずかしいんだべ…。」

 伏目勝ちに言う。

「何で恥ずかしいんだ?オラ全然わかんねえよ。」

「…だから…見せれるような身体じゃ…。」

「オメエが何を気にしてるんか、オラわかんねえ。オメエが変わったって言うけど、どこが変わったんだ?あの頃と全然変わんねえじゃねえか?しいて言えば前髪が伸びた事か?」

 ずっとチチは自分が年齢を重ねて変わったと言っている。でも自分にはそんな事関係ないのに。

「…女が年とっちまう事は何よりも気にする事なんだべ…。もう若いおらじゃねえんだから…。」

「だからわかんねえよ。オラ、若いチチが好きなんじゃなくてチチが好きなんだぞ?チチだからずっと触りてえのに。」

 チチだから好き。何年経っても、チチが例え皺くちゃのばあさんになっても、チチだけが好きと断言できる。

「…だども…。」

 顔を真っ赤にさせて呟くチチの姿に、自分の中の何かが切れた。

「グダグダうるせえっ!!」
「きゃっ!!」

 次の瞬間、チチに飛びかかっていた。

 箍が外れたとはこの事か。

 愛しいチチの恥らう姿を目の前にして我慢できるほど聖人ではない。というより、そんなものクソ食らえだ!!


 いつまでも鳴り止まない雨音さえも、もう自分の耳には届かなかった。


 end
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