雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄27


「…トランクス…。」

「…は、はい…。」

 僕は超化する一歩手前まで気を高めてしまっている。

 自分でも大人気ないって思う。でも…。

 トランクスは何かを企んでいる。しかもそれは僕とビーデルさんに関した事に違いない。

 ここは釘を刺しておかないといけない。

 何たってあのブルマさんの子だ。余計なお節介もしてくるだろう。


「…トランクス…悟天に何を吹き込んだんだい…?」

 多少声音を低くして言った。

「…え?な、何のこと?」

 誤魔化すつもりか…?

「…。だから…悟天に余計な事を教えただろう?」

 出来るだけ笑顔を作って言った。

「…何の事だか…オレさっぱりわかんないよ。」

 トランクスの顔はちょっと引きつっていた。

「…まだそんな事を言ってるのかい?」

 だんだんとトランクスの顔は強張っていく。

 まるでさっきの悟天だ。

「…ご、ごめんなさい…。」

 僕はトランクスの肩を掴んだ。

「いいかい?悟天に余計な事を教えるんじゃないぞ。」

 悟天は無垢すぎてビーデルさんに何を言うかわかったもんじゃない。

 だからトランクスにもきつく言っておかないと。


「は…はい…。」

 トランクスの顔は完全に強張っていた。

 ちょっとやりすぎたかな?

「ならいい。あんまりいたずらするんじゃないぞ?」

 気を静め、いつもの自分に戻り、その場を去った。

 
 トランクスは片付いた。

 でも…無垢すぎる悟天を思うと頭が痛い…。

 さっき釘を刺したけど、悟天は危険すぎる…。

 …もう、何か言っちゃったかも知れない…。

 お父さんに似すぎるくらい似ている悟天だ。


 天真爛漫で無垢にも程があるな…。


 僕は先程以上に大きな溜息を吐いた。


 end
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