雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄2
朝食を食べ終わり、リビングのソファでゴロゴロする。
今日は修行を休むと決めたから、雨音を聴きながらのんびりするのも悪くない。
でも台所からはチチが食器を片付ける音も聞こえるが、何だか鼻歌も聞こえる。
楽しそうだな。と台所の方を見やる。
ウキウキとした気が伝わってくる。
チチは基本的に家事が好きだ。昔から家事をしている時は鼻歌交じりだった。
チチの鼻歌を聴くのは好きだった。何だか眠ってしまいそうになる。
子守唄って言うんだっけ? 悟飯によく歌っていた。
……でも……。
今は限りなくもどかしい。
「チチィ〜、何やってんだよーっ!? 早く来いよっ!!」
せっかく二人っきりなのだから!!
「何だべ? おら忙しいんだけど」
「もういいじゃねえかよっ!? なぁ、こっち来いって!!」
「だから何でだべ? まだ洗い物の途中だし、掃除もせねばなんねえんだ。おめえと違って暇じゃねえんだ!!」
キッパリと言われてしまった。
確かにそうだ。でもせっかくチチと二人、甘い時間を過ごしたくて修行を休んだのだ。ここで引いてたまるものか!!
台所まで行き、チチの細い腰を抱き、黒髪に顔を埋める。
「オメエと二人っきりになりたくて修行休んだんだ。なぁチチィ〜」
耳元で言ってやる。
すると大体真っ赤になって自分の成すがまま……のはずなのに……。
「……悟空さ……離してけれ」
低い声で言われた。……怒ってる……?
スルリと自分の腕からすり抜け、家事を再開させる。
何故だ?今回ばかりは期待が大きかっただけにショックが大きい。天から地へまっ逆さまな気分だ。
「……終わったら……すぐ行くから……」
そう囁くように言うチチの耳は赤い。
これは……一気に気分は上昇する。
「早くな!! 待ってっからな!!」
そう言ってリビングに戻る。
雨音がやけに大きく聞こえる気がするが、そんな事はどうでもいい。
チチとの甘い時間はもうすぐそこだ。
end