雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄3
雨音がリビングに響き渡る。
今日は悟飯も悟天もいないし、雨だから修行を休んでせっかくのチチとの二人っきりを満喫しようと思ったのに、チチは忙しいと相手にしてくれない。
でも用事が済んだら相手にしてくれるって言ったから、こうして大人しく待っている。
雨音に混じって聞こえてくる掃除機の音。
これさえ済めばチチはここへやって来る。
逸る気持ちを抑え大人しく待つ。
「悟空さ」
来たっ!! ……でも台所から声が聞こえる。
「早くこっち来いって!!」
抑えていた分爆発しそうだ。
「……でも……昼ご飯の準備せねば……」
「昼飯?」
「んだ」
「もうそんな時間か?」
「そうだべ」
途端に腹が鳴った。
「あんな時間に朝ご飯食べたくせに、もう腹が鳴るだか……」
呆れ気味に言うチチ。
「とにかく早くしてくれっ!! 飯早く食っちまうぞ!!」
「はいはい」
溜息を吐きながらチチは台所へ消えて行った。
腹も減ったがもっと別な所が減った。
今は昼飯よりもチチだ!! と思うのに、正直な自分の腹が恨めしい。
でも今度こそ!!
今度こそはチチとの甘い時間を満喫するんだ。
end