雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
7ページ/31ページ
雨の日の唄6
雨音に誘われて寝てしまっていたのか。
腕の中にいたはずのチチの姿がない。
慌てて身体を起こす。
「チチッ!?」
「何だべ?」
チチがひょっこりと台所から顔を出す。
その姿は先程の乱れてしまった黒髪ではなく、すでにお団子にひっつめられていた。
「……あ、いた……」
チチを確認するとホッとした。
「一体なんだべ? あ、悟空さ、早く服着てけろ。子供達が帰って来ちまうだ!!」
「お、おう」
さすがにこんな姿を子供達に見られるのはマズイ。
子供達の気はまだ近付いていないが、慌てて下着を着け、服を着た。
その途端電話が鳴った。
「悟空さ、悪いけんど出てくれ」
「おう」
そう言って受話器を取る。
「もしもし」
『あ、その声は孫君ね?』
「なんだブルマか」
電話は相手はブルマだった。
『なんだはないでしょ』
ちょっと不貞腐れ気味言うブルマ。
「悪い。で、何か用か?」
『今度うちでキャンプ場のカプセルを開発したのよ。それでね、悟飯君と悟天君にもモニターになって貰いたいのよ』
「ふ〜ん、いいんじゃねえか? アイツらさえ良けりゃ」
『そう言うと思った。それでね、明日土曜で学校お休みでしょ? だから今日から日曜までモニターして貰いたくて』
「……てコトは……」
『今日から日曜までうちで預かるわ』
今日から日曜までチチと二人っきり!?
「サンキューブルマ!!」
『え? 何が? ……あ、ああ、そういう事ね』
すぐに意味がわかったのだろう。ブルマはクスッと笑った。
『ほどほどにしときなさいよ。チチさん、アンタみたいな体力バカじゃないんだから』
そう言って電話を切った。
子供達には悪いが今はチチとの時間を満喫したい。
心の中で帰って来ない事を喜んでしまった事を詫び、意気揚々と台所のチチの元へ向かった。
end