雨の日の唄
□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄7
「孫君、好きにしていいって」
ブルマさんは電話を切るなり言った。
「そうですか。ありがとうございます」
でもお母さんにちゃんと言ってくれたのかな?お父さんの事だからちょっと不安だけど……
「悟飯君もお父さんには苦労させられるわね」
ブルマさんは何かを含んだようにケラケラ笑いながら言った。
「何がです?」
「孫君、よっぽどチチさんと二人っきりになりたかったのね。どうせ悟天君が邪魔してるんでしょ?」
あ……ブルマさんにまでお見通しなのか……ちょっと恥ずかしいんだけど……お父さん……
生き返ってからのお父さんは修行に出かける以外はほとんどお母さんの傍にいる。
悟天は悟天でお父さんの傍を離れたくないらしく、修行にまでついて行く始末だし、元々お母さん子だから、お父さんとお母さんが仲良くしてるとそれはそれでヤキモチを妬いているのか、必ずといって邪魔をする。
そういう時はお父さんは必ず目で僕に助けを求める。
僕も仕方がないのでお父さんとお母さんから(いろんな手を使って)悟天を引き離すんだけど……
正直毎日だから疲れてる……
そんな時にブルマさんから新しいカプセルのモニターを頼まれたんだけど、悟天もトランクスとずっと遊べるって喜んでるし、もうお父さんとお母さんの事は完全に忘れてるみたいだ。
闘いに没頭したらお母さんの事も忘れてしまえるお父さんとそっくりだよ…… と嘆息しながらも、僕は少し、いや、かなりドキドキしてる。
「悟飯君もよかったわね。ビーデルちゃんも一緒だから」
ブルマさんは僕の心の中を読んだかのように言った。
「なななな何言ってんですかっ!?」
僕は思いっきりどもってしまった。こんなにどもってしまったらバレバレじゃないかっ!!
でも本当、この人には油断出来ない。
さすがあのベジータさんと一緒にいるだけの事はあるよ。
ブルマさんは真っ赤になっているだろう僕の顔を見てニヤニヤしている。
本当に勘弁して欲しいよ……
ふと窓の外を見ると雨が降っていた。
うちの方も出る時雨が降っていた。
お父さんも修行を休んだから今頃家にいるんだな。
そう納得して、これから始まる時間に思いを馳せた。
end