雨の日の唄

□雨の日の唄1〜30
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雨の日の唄8


「わあ、すごいわね!! とてもカプセルの中とは思えないわ!!」

 ビーデルさんが感嘆の声を上げた。

「スゴイねスゴイね!! 兄ちゃんホントにキャンプ場だよ!!」

 大興奮の悟天。

「そりゃママが開発したんだからスゲエに決まってんじゃん!!」

 鼻高々に言うトランクスに苦笑しながら、キャンプの準備を始める。

「ほらみんな、準備するよ……って誰も聞いてないし……」

 ブルマさんからこのキャンプ場のカプセルの使用方法を聞いていた僕以外の3人はもう興奮状態だ。

 ビーデルさんはともかく、悟天とトランクスがこうなったらしばらくはこのままだろう。

 僕が小さく嘆息すると、それに気付いたようにビーデルさんがやってきた。

「ごめんなさい悟飯君、何かびっくりしちゃって……」

 何だか申し訳なさそうに言うビーデルさん。

「いいんですよ。誰だってこんな所に来たら興奮しますよ」
 
 上目遣いで言ってくるものだから、少しドキドキした。

「でもさすがブルマさんね!! そんなに大きなカプセルじゃないのに、中はこんなに広いなんて!!」
 手を前で組んで目をキラキラさせてる。……ホント、かわいいな……ビーデルさん……

「ブ、ブルマさん、天才ですからね。どういう仕組みか全然わかんないけど……」

 僕は何かを誤魔化すように話す。

「ちゃんと昼になったり夜になったりもするんでしょ? 本当に凄いわ!!」

 大興奮のビーデルさん。こんなビーデルさん、あんまり見た事ないな。
 いつもは悪者と戦う正義の味方って感じで。どっちかと言えばクールな感じだから。

 僕はこういうビーデルさんの方が好きだな……って、僕何をっ!?

 そう思うと妙にドキドキしてきた。

 凄い胸の動悸だ。ビーデルさんにこの鼓動が聞こえてしまうんじゃないだろうか?

「? 悟飯君、どうしたの?顔、真っ赤だけど?」
「ななな何でもないです!!」

 僕は手をブンブン振った。

 そうだ。僕は凄くドキドキしている。ビーデルさんと2日も一緒にいれるなんて嬉しい。

 これが恋だという事はとっくの昔に気付いていた。……誰にもバレてないと思っていたけど……ブルマさんにはお見通しだったみたいで……

 とにかく今はこの胸の動悸を何とかしなければ!!

 僕はこの2日間、平常心でいられるか少し不安になった。


 end
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