雨の日の唄
□雨の日の唄31〜60
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雨の日の唄55
少し微睡んでいたみたいだ。
身体を起こして寝ている悟天君とトランクス君の向こうを見る。
そこで寝てたはずの悟飯君の姿は無かった。
(…もう起きたんだ…)
時計を見ると午前6時過ぎ。
私が眠れずに悶々としてた頃が4時半過ぎだったから、1時間半は眠れたようだ。
でもやっぱりスッキリしない。
(1時間半しか寝れてないんだもんね…)
目を擦り、狭いテントの中で伸びをする。
(私も起きようかな。)
朝食の準備もしないといけない。
夕べでわかったけど、サイヤ人(のハーフ)達は本当によく食べる。この時間から準備しないと、この育ち盛りが起きる頃には間に合わないだろう。
でもおばさん、本当にすごいと思う。
一体何時に起きているのだろう?
悟飯君と悟天君に加えて純粋サイヤ人のおじさんまでいるのだから、相当早起きしてるんだろうな…。
きっと夜明けとともに起き出さないと間に合わないだろう。
それでもおばさんはそれをもう二十年近く続けているんだ。
(…愛よね…)
何となくそんな事を思った。
普通なら口にしにくい言葉なんだけど、おばさんになら恥ずかしげもなく形容できてしまう気がした。
(愛が無けりゃ出来ないわよ…。)
ちょっと…いやかなり…悟飯君やおばさんには申し訳ないけど、おじさんみたいな人と結婚したら、普通の人なら逃げ出しちゃう気がする。(おじさんに失礼か)
でもおばさんは逃げ出すどころかおじさんが死んじゃってもずっと待ってたわけで…。
(愛よ!!愛なんだわ!!)
私も悟飯君とそうなれたら…なんて考えてたら、急に顔が熱くなった。
(外に出て冷まそう。)
テントの外に出ると、視線の先に伸びをしている悟飯君の姿があった。
私はさっきの妄想も事もあって、顔が余計に熱くなった。
end