雨の日の唄
□雨の日の唄31〜60
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雨の日の唄36
ドキドキする。
いくら悟天とトランクスを挟んでいるとはいえ、同じ空間でビーデルさんが寝ているのだ。
この状況をドキドキせずにいられるか。
(こんな状態で眠れるかっ!!)
絶対、明日は寝不足だ。
僕の家は基本早寝早起きだ。
9時にはもう床に就いているだが、今時計を見るともう11時だ。
悟天がかなり眠そうだったので9時頃にはもう寝かせ、まだ眠くないと騒いでいたトランクスもよっぽど疲れたのだろう、床に就かせるなりすぐに夢の中だった。
僕達もトランクスと同じタイミングで床に就いたのだが…僕の目はすっかり覚めている。
(…ダメだ…水でも飲もう…。)
とにかく喉が渇いた。
入り口側で寝ていたので、とりあえず誰も起こす事なく外へ出た…つもりだった。
外へ出てコップ一杯の水を飲み、喉を潤した。
ふと上を見ると、星空だった。ちゃんと月まで再現されている。
「…すごいなぁ…やっぱりブルマさん、天才だなぁ…。」
一人呟いた。
都会では見られない、僕の家のあたりくらいの星空だ。
「…満月か…。」
月は欠ける事のない、まん丸な月だった。
これは作り物だ。
違うとわかっていても、なんだか胸の奥ととうの昔に失くしてしまった尻尾の辺りがざわざわする感覚。
思わず服の胸の辺りをギュッと握る。
…見るだけでも…条件反射かな?ブルーツ波など出ているわけじゃないのに…。
暫くの間、呆然とその満月を眺めていた。
その時、
「悟飯君?」
声をかけられた。
そこには、ビーデルさんが立っていた。
end