雨の日の唄
□雨の日の唄61〜90
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雨の日の唄63
「おねえちゃんっおいしいよっ!!」
「うん、美味しいよ、ねえちゃんっ!!」
悟天君とトランクス君はご飯粒を口のまわりにいっぱい付けながら言った。
「ありがと。」
ニッコリと笑って言うと、二人とも満面の笑みをくれる。
キャンプって初めてだから朝食に何を作っていいのかわからなくて…。
夕べはやっぱりキャンプって感じのカレーにしたんだけど…。
でもブルマさんが別にちゃんとしたキッチンを作ってくれていて、置いていってくれた大量の材料の中から見繕ってお味噌汁とベーコンエッグとサラダを作った。
本当は玉子焼きを作りたかったんだけど、玉子焼きはちょっとレベルが高いってワケじゃないんだけど、一度食べたおばさんの玉子焼きがすっごく美味しくって…。
あの玉子焼きを食べたら他の玉子焼きなんて食べれやしないわ…。
だからいつもあの玉子焼きを食べてる悟飯君達に私の玉子焼きなんて食べさせられないわ…。
そんな事を考えていると…
「…とっても美味しいです、ビーデルさん…。」
何だか遠慮がちに…いえ、ビクつきながら言う悟飯君の態度がちょっと癇に障った。
(どうせおばさんの料理よりは美味しくないけどねっ!!)
「…そう。」
素っ気なく、それこそ可愛げなく言ってしまった。
わかってる。わかってるんだけど、おばさんの料理と比べちゃダメだってわかってるんだけど、それでも…。
(素直になれないのよねえ…。)
ちょっとでも比べられたかも知れない、なんて思ったら、思考がこう、マイナスにいっちゃって…。
夕べはあんなに素直になれたのに、自分だけがこんなにも好きなのかも知れないなんて思ったら…無性に切なくなった。
(自分勝手…なのかもね。)
彼も自分と同じ気持ちならいいって、彼も自分と同じように眠れない夜を過ごしてくれてたらいいって、そう思ったのは自分勝手なのかも…。
全く、恋する乙女の心情って厄介なものね。
私は自己嫌悪に溜息を吐いた。
end