雨の日の唄

□雨の日の唄91〜120
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雨の日の唄104


「で、ブルマさん。悟空に聞いたんですけどね」
『何かしら?』

 先程親友に聞いたことを訊ねた。

「今日、悟飯たちがキャンプしてるんでしょ?」
『そうなのよ。天才のこの私がね、キャンプ場のカプセルを開発したのよ。それでそのモニターをお願いしたのよ』

 彼女が電話の向こうで胸を張っているだろうことはわかる。それほどにまでの自信満々な声音。

 思わず苦笑する。まあこういう彼女の様子は手に取るようにわかる。

 彼女は天才だ。それはわかる。今まで彼女にたくさん助けられてきた。

 ドラゴンレーダーがあったから、自分は親友と出会えたのかも知れないと思うこともある。

 しかしながら、自分と同門の男と恋人関係にあったのに、別れたその後、その敵とも言える男との間に子供まで作ってしまった彼女。

 親友と同胞でもあるその男は非道な侵略者だったのに、今ではすっかり鳴りを潜めてしまった。

 この間の戦いにおいては、地球と家族の為にその身を犠牲にしようとしたのだから驚きだ。

 これも彼女のお陰なのかも知れない。

 あの男の子供を連れて来たとき本当に驚いた。親友が子供を連れて来たときの驚きも相当なものだったが、彼女の場合は違う意味での驚きもあり……。

 恋人の子だと思ったのに実は既に別れていて、面倒をみていたとは言え敵でもあった男の子供を産むなどということは想像もつかないことであって。

 それでも二人とその子供が幸せそうだから、彼女にとっても彼にとっても、それはそれでよかったのかも知れない。

「俺たちも混ぜて貰っちゃダメですか?」
『あなたたちも?』

 親友の子供たちがモニターをしているなら混ぜて貰おうと思った。ちびっこたちもいるなら娘も喜ぶだろうし。

『ダメよ』
「なんでですかっ!?」

 モニターなのだから快諾してくれると思ったのに、まさか断られるとは思わなかった。

『だって、悟飯君のジャマできないもの』
「へ?」

 悟飯のジャマ? 何のことだろう?

「何のことです? 悟飯はチビたちとキャンプ中でしょ? なら問題ないんじゃ……」
『問題大アリよ!!』

 彼女は突然大声を出した。

『だって、ビーデルちゃんもいるんだもの』
「はい?」
 
 確かミスター・サタンの娘だったはずだが、彼女がいるからと言って何故駄目なのだろう?

『わからない? 悟飯君のジャマになるじゃないの』
「何で……? あっ!!」

 そういうことか……。

「要するに、悟飯とビーデルさんのジャマになるっていう……」
『そういうことね』

 彼女がニヤッと笑ったのがわかった。

『でも失敗したかなぁ〜トランクスと悟天君も一緒だから。あ、でも孫君そっくりの悟天君はともかく、うちのトランクスはああいうことには妙に敏感だからね。気を使うというより発破かけてるかも』

 ケラケラと笑う彼女の声。

 何となく、そんなチビたちに手を焼いている親友の長男の姿も想像できるのだけど……。

 でも意外と早熟なんだよな、あの親子……。

 十代で結婚して早々に父親になった親友と、晩婚だった自分とは違って既にガールフレンドがいる親友の長男。

 どこまでも負けてる気がして、何となく落ち込みそうだったけど、でも今の自分はすごく幸せで。

 天然な親友の長男の恋路を邪魔しちゃいけないなと、思わず苦笑した。


 end
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