novel

□a modest wish
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 ドラゴンボールを探しに出た以外、ずっと自分の傍にいた。

 炊事の時も洗濯の時も、雛鳥の如く自分についてまわった。

 ソファに腰掛け雑誌を読んでいても、その膝には金髪になった夫の頭が乗っている。

 夫は自分の膝に頬を擦り付け、腰に腕を回す。

 新婚の頃には考えられない。

 今こうして自分の膝枕で寝ている夫は、新婚当時は自分に触れようともしなかったのに。


(いつの間にこんなに自然に触れるようになったんだべ? 初めて抱かれた時だべか?)

 
 そう思い、夫の金色の髪に指を通す。

 夫は擽ったそうに身を捩りこちらを見上げてきた。

「オメエにこうして自然に触れるようになったん、いつ頃からだったんかなぁ」
 
 ドキンと、同じ事を考えていた事に心臓が鳴る。

 夫と自分は時々こういう事がある。

 同じ事を思い、同じ事を考えている事がある。

 夫は相手の頭に触れるだけで何となく考えている事がわかるという芸当を身に付けたらしいが、自分との間にその技を使った事はないらしい。
 
「オメエの事だけは触れなくてもわかる。離れてても、オメエが今怒ってるとか泣いてるとか笑ってるとか、何となくわかるんだ。何でだろうな」

 と夫は笑っていた。

 それを聞いた時、何だか気恥ずかしいような、それでいて、この人に選ばれたんだという優越感があった。
 
 神様にも選ばれたこの人の妻になれた事は本当に誇りだった。

 そんなこの人の子供を産めた事も。

 でも初めて好きになった人。この命と引き換えにしてもいいと思えるくらい愛している人。

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